2020/1/7
薬剤耐性菌は世界的に増えているが、新たな抗菌薬の開発は減少傾向にあり、国際社会でも大きな課題となっている。2015年5月の世界保健機関(WHO)総会では薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プランが採択され、加盟各国は2年以内に薬剤耐性に関する国家行動計画を策定することが求められた。
このような流れを受け、2016年4月には国内ではじめて「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」がまとめられた。そしてこの度、内閣府は「薬が効かない(薬剤耐性)感染症に関する世論調査」を公表した(調査期間:2019年8月22日~9月1日)。
この調査の対象は、全国18歳以上の日本国籍を有する3,000人(有効回答数1,667人、回答率55.6%)で、目的は「薬が効かない(薬剤耐性)感染症に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とする」ためとした。調査項目は下記の4つである。
1.抗生物質の理解度について
2.抗生物質の服薬に関する意識について
3.薬剤耐性の理解度について
4.薬剤耐性対策の理解度について
1.抗生物質の理解度について
「抗生物質について知っていること」については、抗生物質が「細菌が増えるのを抑える」と答えた人は66.2%であり、「名前を聞いたことはあるが、どういうものかは知らない」と答えた人が12.7%であった。
2.抗生物質の服薬に関する意識について
「抗生物質を医師・薬剤師の指示どおり飲んでいるか」については、(ア)「医師や薬剤師の指示を常に守って飲むことを意識している」が82.0%と最も多く、「指示どおり飲まないことがある」は13.0%であった(下記(イ)~(エ)の小計)。
(イ)「医師や薬剤師の指示を守るよう意識しているが、できないこともある」9.5%
(ウ)「自分自身で判断して、医師や薬剤師の指示を守らないことがある」2.8%
(エ)「医師や薬剤師の指示を守ることを意識していない」0.7%
(イ)~(エ)と答えた人の上位3つの理由は、「途中で治ったらそれ以上必要と思わないから」が52.3%、「そもそも薬を飲むのは最低限にしたいから」が35.6%、「指示通り飲むのを忘れてしまうから」が34.7%という結果であった。
3.薬剤耐性の理解度について
薬剤耐性について「知っている」と答えた人は49.9%(「よく知っている」18.7%、「言葉だけ知っている」31.2%の小計)、「知らない」と答えた人は48.7%であった。「知っている」と答えた人に「どのようなことを知っているか」を問うと、上位3つの回答は、「感染症を起こす菌に抗生物質が効かなくなる」が75.6%、「抗生物質を正しく飲まないと、薬剤耐性菌が体の中で増えるおそれがある」が53.7%、「日本だけでなく、世界中で薬剤耐性菌が見つかっている」が37.9%というものであった。
4.薬剤耐性対策の理解度について
「薬剤耐性菌を増やさないために心がけていることはあるか」という質問では、「抗生物質は医師や薬剤師の指示どおり飲み切る」が69.4%、「手洗い、マスクをつけるなどの感染予防対策」が54.1%、「抗生物質を他人にあげたり、他人からもらったりしない」が40.1%、「むやみに抗生物質の処方を希望しない」が29.9%という結果であった。
詳しくは、下記の内閣府Webサイト参照
https://survey.gov-online.go.jp/tokubetu/r01/r01-yakuzai.pdf
×close
©DEARCARE Co., Ltd.