2020/1/16
「鎮静」は、患者の苦痛や不安を軽減するため、検査や治療時に薬剤を投与して行うことがある。また、小児の場合は検査中の安静を保つために鎮静を行うことが多い。検査や治療時の鎮静は、医師が患者の状態を観察しながら判断するため、事前に投与量の指示を出すことは難しい面がある。また、検査・治療の開始前に加えて実施中にも薬剤を追加投与することがあり、投与量を口頭で指示するケースも多い。
日本医療機能評価機構は、検査・治療時の鎮静に使用する注射薬の指示が適切に伝わらず、タイミングや投与量を誤った事例が3件報告されたと注意喚起を行っている(集計期間:2015年1月1日~2019年9月30日)。
■検査・治療時の鎮静の際、医師が投与量を決めて注射薬を投与する予定であったが、指示が適切に伝わらず、看護師がタイミングや投与量を誤って投与した事例
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本報告では、下記2つの事例が紹介されている。
【事例1】
医師は、気管支鏡検査のためミダゾラム注射液10mg1Aと生理食塩液20mLをオーダした際、「気管支鏡検査室に持参」とコメントを入れ忘れた。その後、検査室から連絡があり、看護師は注射指示を確認して検査前投薬と思い、ミダゾラム1A+生理食塩液20mLを調製した。病室で全量を投与したところ、患者の自発呼吸が止まった。
【事例2】
16時に胆道シンチグラフィを予定していた。14時30分頃、検査室から連絡があり、看護師は医師に伝えず患児を検査室に連れて行った。10分後、検査室から鎮静が必要と連絡があった。看護師は医師のオーダを確認し、病棟に届いていたイソゾール注射用0.5g1Vを注射用水20mLで溶解して全量を生理食塩液100mLに混注し、検査室に持って行き投与を開始した。16時前に医師が検査の状況を聞いた際、看護師は検査室に行きイソゾールを投与していると答えた。医師が急いで検査室に行ったところ、患児の自発呼吸は微弱であった。
これらの事例が発生した医療機関の取り組みとして下記が挙げられている。
*上記は一例で、自施設に合った取り組みを検討すること
事例のポイントとしては、「鎮静に使用する注射薬は、医師の立ち会いのもとで投与し、投与後の観察を確実に実施する」こととしている。
詳しくは、下記の日本医療機能評価機構Webサイト参照
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