2020/1/16
我が国における一日の摂取エネルギー量の目安は、これまで標準体重(身長の2乗に22をかけた体重)と身体活動量に基づいて算出されてきた。加齢とともにサルコペニアやフレイルなどが増加するが、低栄養はこれらの病態を悪化させ得ることから、高齢者の糖尿病の食事療法は、単に制限をするだけでなく、フレイル対策のために「不足なく摂る」という考え方が出てきた。
そこで東京都健康長寿医療センターの研究グループは、高齢の糖尿病患者における望ましい摂取エネルギー量(カロリー)を明らかにするために、約6年間の追跡調査データを用いて体重あたりのエネルギー摂取量と死亡リスクとの関係について検討した。
本研究では、高齢糖尿病患者1,163人を約6年間追跡したJ‐EDIT研究のデータを用いて摂取エネルギー量と死亡リスクの関連を解析している。エネルギー摂取量は体格の影響を受けることから、体重あたりの一日摂取エネルギー量を小さいほうから大きいほうに4群に分け(Q)、各群の死亡リスクを計算している(下表参照)。
■摂取エネルギー量と死亡リスク
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エネルギー量と死亡リスクの形は「U字型」を示しており、摂取エネルギー量が多すぎても少なすぎても死亡リスクが高くなることが明らかになった。特に、肥満を伴う人でエネルギー量が不足していると、死亡リスクが高いことも判明した。
この結果から、標準体重(身長の2乗に22をかけた体重)をもとに摂取エネルギー量を算出すると、高齢者ではエネルギー量が不足する懸念があり、患者の年齢を考慮した目標体重のほうが過不足なくエネルギー量を設定できると考えられるとした。
また、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2019」では、高齢者の目標体重は身長の2乗に22~25をかけて柔軟に設定することが推奨されており、本結果はこれを支持するものとなった。
同研究グループは、高齢者糖尿病の食事療法は単に制限するだけではなく、「過不足なく摂る」ということが大切であり、おそらく高齢者ではエネルギー量が不足するとフレイルや低栄養をきたして死亡しやすくなるのではないかと考えられると述べている。
詳しくは、東京都健康長寿医療センターWebサイト(2019年11月25日<プレスリリース>「食」で向き合う糖尿病 「あなたの適量がわかった‼」 食べ過ぎ・食べなさ過ぎの危険性)参照
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