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2020/4/10

レセプト情報から明らかになった高齢者への多剤処方の実態

高齢化が進むにつれ、高血圧や糖尿病など、複数の慢性疾患を有する患者が増えてきている。このような場合、それぞれの疾患に対して複数の薬剤を長期にわたって使用することも多く、ポリファーマシー(多剤併用、多剤処方)による重複投与や薬物間相互作用による有害事象の発現が問題になっている。また、薬剤の種類が増えることで薬剤管理が複雑化し、アドヒアランスの低下も懸念される。

これまでも、「お薬手帳」の有効活用や、かかりつけ薬局・薬剤師による一元管理によって、ポリファーマシーの改善が推奨されてきた。しかしながら、現状、高齢者の多くは複数の医療機関を受診し、それぞれで複数の薬剤を処方される場合が多くみられ、すべての処方情報を統合するには多くの手間と課題があった。

このような背景のなか、東京都健康長寿医療センター研究所の研究チームでは、後期高齢者の外来診療における医薬品処方の実態調査を実施した。本研究では、東京都の75歳以上の高齢者を対象に、100万人分のレセプトデータを用いて処方薬剤の把握を行い、処方状況や処方パターン、多剤処方のリスク要因を検討した。

その結果、処方されている薬剤数の中央値は6種類であり、5種類以上の処方があった者は全体の64.0%を占めることが明らかになった。高齢者に対する多剤処方は例外的なものではなく、標準的に行われていることが伺える。

薬剤種類別の処方割合は降圧薬が最も高く(66.5%)、睡眠薬・抗不安薬も28.8%に処方されていることが明らかになった。

さらに、本研究では薬剤の併用パターンを国内で初めて明らかにした。以下のように5つの併用パターンが示されている。

  • パターン1:利尿薬・抗凝固薬・尿酸低下薬・鉄剤
  • パターン2:抗うつ薬・抗不安薬や睡眠薬・抗精神病薬
  • パターン3:骨粗鬆症治療薬・鎮痛薬・胃酸分泌抑制薬
  • パターン4:抗血小板薬・脂質低下薬・降圧薬・抗糖尿病薬
  • パターン5:抗認知症薬・抗精神病薬

そして、多剤処方になりやすい薬剤の種類として、鎮痛薬、利尿薬、抗不安薬・睡眠薬、骨粗鬆症治療薬、抗糖尿病薬が同定された。

同研究チームでは、このような薬剤の併用パターンが明らかになったことにより、併存疾患の治療を反映した診療ガイドラインの開発が可能となり、そのなかで薬剤有害事象リスクが高くなりやすい薬剤併用例を提示することができると述べている。これにより、薬剤有害事象の予防対策が効率よく検討できることが期待される。

詳しくは、東京都健康長寿医療センターWebサイト(2020年3月5日<プレスリリース>「100万人のレセプト情報から解明:東京都の75歳以上高齢者の6割超が5種類以上の薬剤を内服」参照

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