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2020/4/16

「がん治療に伴う粘膜障害マネジメントの手引き」が出される

がん薬物療法や放射線療法、造血幹細胞移植などのがん治療に伴う有害事象のなかでも発生頻度の高いものとして、口腔粘膜炎が知られている。痛みと苦痛を伴うことから患者のQOLに与える影響は大きく、経口摂取量の著しい低下による栄養状態悪化や脱水をまねくこととなる。さらに、粘膜障害が生じた部位では感染リスクも上昇する。また、消化管に粘膜障害が生じると、痛みや下痢などが生じ、やはりQOLや全身状態に与える影響は大きい。
これら有害事象によって治療の一時中断や中止を余儀なくされることもあり、粘膜障害を適切にマネジメントすることは、がん治療成功の一つの鍵とも言える。

このような背景のなか、日本がんサポーティブケア学会と日本がん口腔支持療法学会の共同編集により、「がん治療に伴う粘膜障害マネジメントの手引き2020年版」が発刊された。

本手引きは、「Ⅰ口腔」と「Ⅱ口腔以外」の大きく2編に分けられており、それぞれに対応するクリニカルクエスチョン(CQ)に対し、関連論文やエビデンスを提示してQ&Aの形式で回答する形をとっている。作成にあたっては、MASCC/ISOO(国際学会Multinational Association of Supportive Care in Cancer(MASCC)/ International Society of Oral Oncology (ISOO))の提唱する「がん治療に伴う粘膜障害に対するエビデンスに基づいた臨床診療ガイドライン」等を参考とし、日本の実臨床に合わせ活用できるように、粘膜炎の発生機序などの概要と、予防・治療の指針をまとめている。

粘膜障害のマネジメントにおいては、日々のケアのなかでナースが果たす役割も大きい。
本手引きには、口腔粘膜炎の予防的な管理に口腔衛生管理(口腔ケア)が推奨されることや、口腔ケアの主たる目的は口腔内の感染防御であり、患者自身のブラッシングによる物理的な汚染物の清掃除去がその中心となることなどが示されている。また、クライオセラピーの推奨や、口腔粘膜炎予防に推奨される含漱の基本、食道炎や下痢症状へのケアにおいて気をつけたいポイントなども解説されている。
また、口腔粘膜炎の症例写真も数多く掲載されており、食事介助や口腔ケアの際などにいち早く症状に気づき、早期対処への一助になることも期待される。

支持療法においては、医療者の適切なマネジメントに加え、患者自身の協力も欠かせない。
日本がんサポーティブケア学会理事長の田村和夫氏は、本手引きの“序”において、『「行ったほうがよいこと、行わないほうがよいこと、どちらともいえないこと」を示唆することで、医療者、患者・家族が陥りやすい独善的な治療・処置を避け、現時点で最も適正な医療の実践が期待されます』と述べている。
エビデンスと臨床知に基づいたケアの実施と患者指導に役立てたい。

書名:がん治療に伴う粘膜障害マネジメントの手引き2020年版
編集:日本がんサポーティブケア学会、日本がん口腔支持療法学会
B5判、192頁
発行:金原出版

詳しくは、下記の金原出版Webサイト参照

https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307204101

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