2020/8/18
新型コロナウイルス感染症対策から緊急事態宣言が発せられた頃から、感染予防のためにデイサービス等を一時休止する事業者が増えてきた。医療機関や高齢者施設でも、入院している患者への面会制限を行っているところも増え、在宅でも、民生委員やボランティアの家庭訪問の機会が減少し、地域での集まりやイベントの取りやめも相次いできた。このような状況下で、外出や会話の機会が失われた高齢者の認知機能や身体機能の低下が懸念されてきた。
この度、日本認知症予防学会では、今般の新型コロナウイルス感染症による認知症予防への影響について、会員向けにアンケートを実施し、その集計結果を公表した。
この調査では、回答数合計414名中約200名が「認知機能が悪化」と答え、「BPSD (Behavioral and psychological symptoms of dementia:周辺症状)が悪化」「身体合併症の悪化」との回答もそれぞれ100名前後から寄せられた。さらに、医療・介護面で「負担が増加している」という回答も300名近くあり、その2/3程度は感染対策を原因に挙げていた。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い懸念されていた、高齢者、医療・介護面へのマイナス影響が実際に生じていることがうかがえる。
今回のような事態になると、対面での接触の機会が減ることから、オンラインでのアプローチが重要になってくるため、この調査では、オンライン機器の活用についても調べている。その結果、オンラインの機器を「活用している」と答えた人は130名程度にとどまっており、300名近くは「活用していない」という回答であった。オンライン機器を活用していない理由としては、「環境整備が整っていない」が87名にのぼった。また、「患者側の対応が不可」との回答も多く、高齢者にオンライン機器を活用してもらうことの難しさが課題として浮き彫りになった。
この調査をもとに、認知症予防学会では、以下のような提言を行っている。
① 1日30分以上の身体を動かす運動や体操をしましょう。
② 御自分の好きな、楽しいことを行うことを日課にしましょう。
③ 御家族や友人との会話を楽しみましょう(直接話す際はソーシャルディスタンスを保って、あるいはネットや電話を使って)。
これまでのように直接的なかかわりが難しい状況で、高齢者自身にも自ら認知症予防に取り組んでもらうための接し方、伝え方が、いっそう求められているようだ。
詳しくは、下記の日本認知症予防学会Webサイト参照
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