2020/9/23
携帯電話やスマートフォンから発せられる電波によって、医療機器等が誤作動を生じる可能性はこれまでにも知られてきた。総務省では、電波を発する機器が植込み型医療機器や在宅医療で使用される医療機器等に及ぼす影響について、毎年調査を行っている。
この度、携帯電話端末(スマートフォン、タブレット等)から発せられる電波による医療機器への動作への影響について検証実験を行ったところ、携帯電話端末をきわめて接近させた際に、成人用人工呼吸器や二相式気道陽圧ユニットが、携帯電話端末からの電波(Wi-Fi環境を除く)の発射を、患者の自発呼吸であると誤って検知するといった事象が観察された。
この結果を受けて、医薬品医療機器総合機構は、「医療機器適正使用のお願い」として、特に在宅で人工呼吸器等を使用する患者・家族、ヘルパーや、訪問看護師等の医療スタッフに向けて注意喚起を行っている。
対象となる医療機器の添付文書には、「重要な基本的注意」の項目に、携帯電話端末等によって電波干渉を引き起こす可能性のある距離が明示されている。医療スタッフは、この距離を把握しておくとともに、記載された距離から離して携帯電話端末等を使用すること、および、日ごろの動作状況を確認することを、患者・家族等の関係者に指導する必要がある。
なお、近年では携帯電話および医療機器の機能向上によって、電波による影響は非常に少なくなってきている。今回の検証実験も、極端な状況を想定したものであり、実際に同様の事象が臨床現場で起きたという報告はない(2020年7月現在)。
患者・家族の携帯電話の利便を一律に制限するのではなく、適切な距離を保っての使用を指導するとともに、日ごろから動作状況を確認し、動作不良が生じた場合には速やかに医療スタッフ・医療機器メーカーの担当者に連絡するよう関係者に伝えることが重要である。
詳しくは、下記の各Webサイト参照
・総務省電波利用ホームページ
「電波の医療機器等への影響の調査研究」
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/seitai/chis/index.htm
・日本医療機能評価機構
「在宅で人工呼吸器等を使用される患者さんやそのご家族等の皆様へ」
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