2020/10/20
電子カルテの普及は投薬における安全性の向上にも役立っている。薬剤アレルギーの既往がわかっている患者の電子カルテにその薬剤を登録しておくことで、該当薬を処方しようとした際にアラートが表示され、誤って投与してしまう医療事故を未然に防げるようになってきた。
一方で、電子カルテへの入力の仕方などが原因となり、アラートが機能せずに患者に投与してしまった事例も報告されている。公益財団法人日本医療機能評価機構が発信する「医療事故情報収集等事業 医療安全情報」によると、処方時にアラートが表示される条件に合った方法で電子カルテにアレルギー情報を登録していなかったことにより、アレルギーがある薬剤を投与した事例が9件報告されている(集計期間:2015年1月1日~2020年6月30日)。
その一因として、本来アラートが表示される条件として「薬剤名を選択して登録」する必要があるところを、「フリーのテキスト入力にて登録」してしまったことが報告されている。薬剤名選択での登録方法が周知されていなかったり、テキスト入力ではアラートが機能しないことを入力者が認識していなかったことなどが背景として挙げられている。
報告されている事例では、これらアレルギーがある薬剤を投与したことにより、患者に呼吸困難感や眼瞼浮腫、上肢のしびれなどが生じた例もあった。アナフィラキシーなど重篤な状態に陥る恐れもあり、厳重な注意が必要である。
これらの事例が発生した医療機関の取り組みとして下記が挙げられている。
・処方時にアラートが表示される登録方法を周知する。
・テキスト入力(フリー入力)で登録すると処方時にアラートが表示されないことを注意喚起する。
・患者のアレルギー情報は、処方時にアラートが表示される方法で登録する。
*上記は一例で、自施設に合った取り組みを検討すること
アレルギー情報の登録は看護師も医師も行うことがあり、登録方法を十分に理解したうえで、適切にアラートが表示されるよう活用していくことが求められる。
詳しくは、下記の日本医療機能評価機構Webサイト参照
「アラートが機能しなかったことによるアレルギーがある薬剤の投与」
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