2020/11/24
コロナ禍でのステイホーム(自粛生活)やリモートワーク(在宅勤務)の普及に伴い、運動量の減少や、食生活をはじめとした生活バランスの乱れ、慣れない環境でのストレスの増加などが懸念されている。このような状況は同時に、生活習慣病発症の危険因子となりうる。
そこで、日本生活習慣病予防協会は、COVID-19の自粛生活における実態を調査すべく、緊急アンケートを実施した。調査対象になったのは、“痛風”や“高尿酸血症”の診療を行った医師338名である。
高尿酸血症は、痛風や尿路結石などの原因としてよく知られているが、さらに近年、これらに加え、さまざまな重大疾患の危険因子となることが指摘されてきた。2019年に8年ぶりの改訂を受けて出された「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、高尿酸血症がメタボリックシンドロームや腎障害、脳・心血管障害とも関連し、これら疾患の危険因子となることが指摘されている。高尿酸血症の患者には、食事指導や運動などの生活指導が推奨されることからもわかるように、尿酸値の増加は生活習慣と密接に関連している。
今回のアンケートによると、コロナ禍における「受診控え」が予想された期間においても、聴取した医師の約3分の1が、高尿酸血症/痛風の新規患者が実際に増えていると回答しており、患者数の増加傾向がみられた。新規患者としては40~50代の男性が最も多かった。
また、このような受診控えの傾向を感じている医師は、調査を行ったなかでも3分の2近くにのぼり、この医師らの多くが、受診控えに伴う高尿酸血症の増悪や痛風発症の増加を懸念していた。さらに、調査対象中9割以上にのぼる322名の医師が、今後も続くとみられる「withコロナ」の状況において高尿酸血症/痛風患者が増えると考えていることもわかった。withコロナの「新しい生活様式」が、高尿酸血症や痛風の継続的リスクとなる可能性が指摘され、生活習慣病予防対策の必要性を訴える意見もみられた。
同協会では、COVID-19に限らず、ウイルス感染症に罹患しても重症化しないための基本的な対策とは、生活習慣病にならないための生活習慣を身につけることに他ならない、と述べており、協会が掲げる健康スローガン「一無(禁煙・無煙)、二少(少食・少酒)、三多(多動、多休、多接)」を改めて提唱している。
なお、今回のアンケートの問いのなかには、手軽にできる尿酸値対策として乳製品がいくつか挙げられている。なかでも、安全性が高く副作用が少ないというエビデンスもあり、高尿酸血症の増悪を抑止できる可能性があるヨーグルトを勧める声が多かった。
詳しくは、以下の日本生活習慣病予防協会Webサイト参照
「新型コロナウイルス感染症対策としてのステイホームやリモートワークが高尿酸血症や痛風の有病率および受診率に及ぼす影響—医師338名への緊急アンケートから見えてきた現状—.」
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