2021/1/12
冬季にかかって新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威がいっこうに治まる気配がないが、国立感染症研究所は、2020年12月1日、COVID-19における積極的疫学調査の結果を発表した。この調査は、各自治体・医療機関から寄せられたCOVID-19の退院患者の情報に基づいており、396例を対象に、10月5日時点の状況をまとめたものである。
調査結果は以下のとおりだ。
入院期間の中央値は13.0日で、年齢の中央値は48.0歳。年齢別では20代が91例(23%)と最も多く、次いで50代64例(16%)、60代50例(13%)となった。
基礎疾患としては、高血圧63例(16%)、糖尿病44例(11%)、脂質代謝異常症38例(10%)、喘息19例(5%)などがあった。喫煙歴は、33例(8%)で認められたという。
また、発症時の症状として、最も多かったのが発熱の217例(55%)、他に、呼吸器症状141例(36%)、倦怠感57例(14%)、頭痛35例(9%)、消化器症状26例(7%)などがあった。
入院時の症状は、呼吸器症状が最も多く116例(29%)、次いで発熱101例(26%)、味覚異常40例(10%)、嗅覚異常40例(10%)、消化器症状39例(10%)などが報告された。
入院中の合併症については、396例中19例あり、急性呼吸窮迫症候群(ARDS) 11例(3%)、急性腎障害6例(2%)、人工呼吸器関連肺炎3例(1%)、細菌性肺炎1例(0.3%)、カテーテル関連血流感染1例(0.3%)。なお、このうち14例が死亡に至ったという。
治療に関しては、全396例のうち、140例(35%)に対し、直接的な効果を期待し、抗ウイルス薬投与等の治療介入が行われた。
使用された薬剤は以下のとおり。シクレソニド82例、ファビピラビル72例、ロピナビル/リトナビル21例、ナファモスタット4例、ヒドロキシクロロキン硫酸塩3例、レムデシビル2例など。
このほか6例で、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム1例、シベレスタット1例、これら2剤の使用1例、薬剤不明3例)が実施された。
なお、治療薬投与の割合では、60歳以上の症例(53%)は60歳未満の症例(27%)よりも高く、基礎疾患を有する症例(56%)は、基礎疾患のない症例(24%)よりも高かったという。
この他、調査結果では入院時の主な血液・生化学検査の値や画像所見などについても報告されている。
詳しくは、下記の国立感染症研究所Webサイト参照
新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(第2回)(2020年10月5日時点:暫定)
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