2021/2/17
厚生労働省は2020年12月、「人工呼吸器と組み合わせて使用する製品に関する自主点検等について」として、製造販売業者を対象にした通知を行った。
本通知は、以下のような事例を背景としている。
挿管患者において痰を吸引する目的で使用される閉鎖式の気管支吸引用カテーテルを、人工呼吸器の回路と挿管カニューレ等の間に接続して使用した場合において、気管支吸引用カテーテルと挿管カニューレの接続が外れてリークが発生した際に、呼吸回路の外れた状態を知らせるための警報が発生しない事例が生じた。
本事例においては、人工呼吸器の製造販売業者が当該人工呼吸器と併用する医療機器として指定していない気管支吸引用カテーテルを併用していたが、臨床現場では、やむを得ず指定していない医療機器を併用せざるを得ない状況も考えられる。
警報が発生しない場合、医療従事者が呼吸回路が外れた状態を早期に発見できない可能性が生じ、その結果として呼吸困難等により患者に重大な健康被害が発生するおそれがある。
これを受け、厚生労働省は、人工呼吸器等の製造販売業者に対して、製造販売業者が指定していない製品をやむを得ず使用する場合、「回路が外れた際に音声による警報が発生することの確認」「音声による警報が発生しない組み合わせが判明した場合の適切な情報提供」などについて自主点検を呼びかけた。
人工呼吸器と組み合わせて使用する製品としては、L字コネクター、カテーテルマウント、気管支吸引用カテーテル、人工鼻などが挙げられる。本来は人工呼吸器等の製造販売業者が指定する製品と組み合わせての使用が望ましいが、やむを得ず指定外の製品と組み合わせて使用する場合、上記のような事例が報告されていることを、臨床現場で実際に人工呼吸器管理に携わる看護師は念頭に置いておきたい。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、臨床において人工呼吸器の使用機会が増えており、適切な管理が求められている。特に何らかの操作前後は、アラームだけに注意するのではなく、フィジカルアセスメントを駆使して患者の様子を観察することが重要である。患者状態や機器の示す数値に十分に注意を払い、異常がみられた場合は迅速な対応につなげる必要がある。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
人工呼吸器と組み合わせて使用する製品に関する自主点検等について.(令和2年12月21日)
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