2021/5/25
病院看護職員の需給動向や労働状況、看護業務の実態等の把握を目的に日本看護協会が毎年実施する「病院看護実態調査」。2021年3月26日に、2020年の調査結果が発表された。調査期間は2020年10月1日~11月9日、調査対象は全国の病院8,249施設である。
今年は、例年調査される“看護職員の離職率”や “夜勤の状況”に加え、“外来看護の状況”や“看護補助者の状況”についても新たにまとめられた。また、今回、初めて調査方式にWeb回答が導入され、回答病院の基本属性に大きな変化はなかったものの、有効回収率が46.0%と前年に比べ5.2%アップしたという。
以下に調査結果の概要を抜粋のうえ紹介する。
・看護職員の離職率は上昇傾向、離職率20%以上の病院数は前年度の2倍に
離職率については正規雇用看護職員・新卒看護職員・既卒看護職員(新卒ではない看護職経験者)の枠組みで調査されている。既卒看護職員では16.4%と 1.3%の減少がみられたが、正規雇用看護職員は11.5%、新卒採用者は8.6%であり、前年度と比べそれぞれ 0.8%上昇する結果となった。
対前年度比で大きく増加したのは、「離職率20%以上」の病院である。正規雇用看護職員の離職率を病院ごとに算出した結果、前年度10.4%に対し、21.2%と倍増し、この増加傾向はいずれの病床規模でもみられたとのこと。同協会では、この結果に対し、調査期間が2019年4月1日から2020年3月末であり、新型コロナウイルス感染症流行初期(1~3月)の影響が及んだ可能性があるとして、離職状況の継続把握と離職防止策の検討が課題としている。
・看護補助者の採用年度内の離職率は約3割
看護補助者数は、許可病床100床あたり13.0人(常勤換算数、正規・非正規合算)であり、正規雇用の割合は約65%であった。病床規模別にみると、病床規模が小さくなるほど100床あたりの人数が多かった。例えば「99床以下」17.4人(正規・非正規合算、以下同)、「100-199床」16.5人、「200-299床」13.9人のとおり。
また、採用の状況では、採用予定の雇用実績をみると、正規雇用では76.7%しか雇用できていなかったが、非正規雇用では105.1%も雇用できていた。離職については、2019年度に採用され同年度内に退職した割合が調べられ、正規雇用25.6%、非正規雇用32.9%と、いずれも約3割の離職率となっており、決して少ない数値とはいえない結果であった。
一方、看護補助者の確保・定着のために何らかの取り組みを実施する病院は約95%あり、取り組みの内容で最も多かったのは「看護補助者への研修の充実」66.8%、次いで「看護補助者から意見を吸い上げる場や仕組みの構築」65.9%であった。
・約3割の病院が看護外来を開設、最も多いのは「ストーマ・スキンケア」外来
在宅療養を支援する重要な機能の1つを担う看護外来。今回、同協会では「一定の時間と場を確保して、生活に伴う症状の改善や自己管理の支援等医師や他職種と連携して看護師が主導して行う外来」と定義し、開設の有無等調査した。
看護外来を開設している病院は全体の28.4%であった。看護外来の種類をみると、「ストーマ・スキンケア」が最も多く66.2%、その次が「糖尿病(フットケア)」57.8%、そして「がん看護相談」 37.8%の順であった。看護外来の成果を把握するための指標としては、「検査値改善・身体面の改善」(71.1%)、「QOLの改善」(51.6%)などが用いられていた。
受診日以外における看護外来のかかわり(患者のセルフケア能力の向上や重症化予防の一環で看護師が実施しているもの)についても調査され、かかわりが「ある」と回答した病院は68.9%。かかわりの内容でもっとも多かったのは、「受診日に来院しなかった未受診者の状況確認」で45.0%、次いで多かったのが「地域の訪問看護ステーションとの連絡調整」33.9%、「電話・メール等による状態確認・療養指導等」32.0%であった。
詳しくは、下記の日本看護協会Webサイト参照
「2020年病院看護実態調査」結果.
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