2021/10/14
新型コロナウイルス感染症による医療の逼迫状況が続く中で、糖尿病などの重症化リスクがあっても自宅療養を余儀なくされるケースが多くみられるようになっている。最近では、新型コロナウイルスに感染した糖尿病患者が、自宅療養中に糖尿病性ケトアシドーシスとなり亡くなったケースがあり、これを受けて日本糖尿病学会は、医療者と患者に向けて、今一度シックデイ対策を喚起している。
シックデイとは、糖尿病患者が感染症などによる発熱や下痢、嘔吐、食欲不振などによって食事が摂れない状態のことを呼ぶ。このような状態では、身体的ストレスに対するホルモン等の作用によって、通常は血糖コントロールが良好な患者でも著しい高血糖になったり、あるいは食事が摂れない状態が続くことで低血糖になる恐れがある。重篤な場合は糖尿病性ケトアシドーシスに陥るリスクも高く、早急に適切な対応をとる必要がある。
外来や透析室、あるいは在宅や施設などにおいて、糖尿病患者と接する機会の多いナースは、下記に示すようなシックデイの際の注意事項を今一度患者に伝え、また悪化の徴候がみられた際は早期に医療機関へとつなげるよう意識したい。
■シックデイの際の注意事項
・脱水予防のために十分に水分を摂る
・おかゆや麺類、果汁など、できるだけ摂取しやすい形で糖分を摂る
・食事が十分にとれない場合でも、決してインスリンや血糖降下薬を自己判断で中止せず、早期に医療機関に連絡し指示を受ける
■速やかに医療機関を受診するべき状態・徴候
・高熱が続いたり、嘔吐・下痢などの消化器症状が強い
・24時間にわたって食事がまったく摂れない、あるいは極少量しか摂れない
・血糖値が350mg/dL以上の状態が続く
・血中ケトン体高値、尿中ケトン体強陽性
・意識状態が悪化
【参考】
日本糖尿病学会
日本糖尿病学会 編著:糖尿病診療ガイドライン2019.南江堂,東京,2019.
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター
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