2021/10/19
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大初期は、ウイルスの感染力や対処法など未知の部分が多く、入院後は一度も家族が面会できないまま亡くなるケースや、亡くなった後も通常のエンゼルケアなどができないままご遺体を納体袋へ納め、火葬場へと直行となるケースが多くみられた。このような終末期は家族にとっての悲嘆が大きく、また看護師たちにとっても十分な患者・家族ケアができないことは大きなジレンマであった。
その後、臨床知の積み重ねにより、少しずつ終末期の対応も変わってきている。直接の面会が難しい場合でも、医療者が患者の部屋にタブレットを持ち込んで家族に声をかけてもらったり、面会者に個人防護具(PPE)を着用してもらい非常に短時間の面会を実施する、あるいは透明な納体袋越しにお別れの時間を設けるなど、各施設は工夫を凝らし、終末期ケアを試みている。
この度、日本クリティカルケア看護学会(JACCN)と日本救急看護学会(JAEN)は、COVID-19感染下の終末期の家族面会に関する調査結果をまとめ、公表した。
終末期の面会、および死亡宣告時の家族の立ち合いができたか否かについては、以下のような結果であった。立ち合い方法としては、PPE装着でベッドサイド面会、窓越し面会、リモート面会、などとなっていた。
日本クリティカルケア看護学会(JACCN)・日本救急看護学会(JAEN)合同終末期ケア委員会:救急・集中領域におけるCOVID-19感染下の終末期の面会の実態および看護師・感染管理者の面会に対する意識調査.より引用
終末期の面会については、看護師(回答数179)の約2割、感染管理者(回答数93)の約1割が「絶対に行うべきだ」と回答、また、「行うべきだ」も看護師の約7割、感染管理者の8割近くとなっており、家族が状況を受け入れるためには終末期の面会が重要と考えられていることがうかがわれる。
また、感染リスクを減らすために立ち合いの人数や頻度、時間などには一定の制限を設けている施設が多く、面会方法と合わせ、さまざまな対策が検討されていることがわかる。
個々の施設によって状況は異なり、終末期面会を実施したくてもマンパワーや設備などに課題があって悩まれている施設もあると思われる。今後は各施設で実施されている具体的な事例などを共有していくことも大切だろう。
詳しくは、下記の各Webサイト「日本クリティカルケア看護学会(JACCN)・日本救急看護学会(JAEN)合同終末期ケア委員会:救急・集中領域におけるCOVID-19感染下の終末期の面会の実態および看護師・感染管理者の面会に対する意識調査」参照
日本クリティカルケア看護学会
https://www.jaccn.jp/pdf/COVID-19_terminal_result.pdf
日本救急看護学会
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