2021/10/26
国をあげて医療イノベーションへの取り組みが推進されているが、新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大により、医療のデジタルトランスフォメーション(DX)も加わって、急速にデジタル化や先進機器を使ってのイノベーションが加速しているようだ。“イノベーション”とは、効果性と効率性の向上をもたらすような革新であり、技術やアイディアの新しい結合と定義されている。
その1つが、ICT(情報通信技術)を駆使した「オンライン診療」に代表される遠隔医療であり、もう1つがIoTやAIなどの最先端のデジタル技術を活用した医療技術革新だ。看護においても遠隔看護「テレナーシング」が注目を集めている。テレナーシングは、遠隔地の看護師(テレナース)がICTを用いて、慢性疾患で在宅療養する患者・利用者に看護を行う方法で、テレナースが在宅患者(利用者)の心身状態を判断して、タイムリーな看護と保健相談を提供するものだ。今後の診療報酬改定でもさまざまな形のテレナーシングが検討対象になりそうだ。
看護におけるイノベーションでは、褥瘡ケアがその代表的なものとみなされている。創治癒にとって最も望ましい環境が「乾燥」から「湿潤」へと大きく変わり、褥瘡ケア方法自体が抜本的に見直された。それとともに、ドレシング材をはじめとするさまざまな技術革新がもたらされたことからも、褥瘡・創傷ケアは看護におけるイノベーションの代表例であるということができる(*1)。
さらに、今、褥瘡ケア、排泄ケアや摂食嚥下ケアのアセスメント方法として「エコー」の導入が図られている。これも看護におけるイノベーションの1つといえよう。
褥瘡ケアでは、主にDTI(深部損傷褥瘡)やクリティカルコロナイゼーションのアセスメント法の1つとしてエコーが推奨されている。DESIGN-R®2020で新たに加わった「DTI(深部損傷褥瘡)疑い」「臨界的定着疑い」の評価においてエコーの活用が勧められている。
排泄ケアでは、排尿自立支援加算における残尿測定のツールとしてエコーが推奨されているほか、便秘アセスメントにおいて直腸便貯留の状態をエコーを用いて観察する方法が推奨されている。また、摂食嚥下ケアにおいてはエコーによる咽頭・喉頭の観察を行うことによって、誤嚥物や咽頭残留物の存在をアセスメントする方法も評価されつつある。
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このような看護イノベーションの動向を踏まえて、一般社団法人日本在宅ケア学会では、「ケアイノベーション研修2021」として、「看護のエコー」「テレナーシング(遠隔看護)」の2大テーマを1日で学べるWEBセミナーを緊急開催する。参加費無料、先着500名限定のライブ配信で、開催日は2021年11月21日(日)、12月11日(土)、12月19日(日)のうちから選べる。
詳しくは、下記の日本在宅ケア学会 ケアイノベーション研修2021Webサイト参照
https://jahhc.com/training-guide/innovation-training
文献
*1.吉田千文:イノベーションをうみだす看護マネジメント,千葉看会誌2015;20(2).
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