2021/11/2
新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きをみせるなか、社会経済活動の再開が期待されている。新型コロナワクチンの接種が進む高齢者においては、コロナ禍で活動休止を余儀なくされていた老人クラブや通いの場も、少しずつ再開されることが予想される。これまでに高齢者が集まった場合に発生したクラスター事例もあることから、必要な対策をふまえたコミュニティ活動の実施が求められる。
コミュニティ活動における対策に関し、国立感染症研究所実地疫学研究センターでは、高齢者の会合等、人が集う場所での感染対策についての提案を発表した(2021年9月29日付)。同センターは、これまでに自治体による新型コロナウイルス感染事例の疫学調査支援を行ってきている。この提案は、昼カラオケやフィットネスクラブなどで起こったクラスター事例の振り返りや、公益社団法人全国公民館連合会作成の「公民館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」をふまえたものであり、利用者自身が注意すべき事項、運営者・従業員が注意すべき事項、さらに施設の換気に関する注意点が示されている。
これまでに得られた所見に基づく提案の主な概要としては、利用者に対しては、良好な換気への対策が十分に行われているイベントに参加する、マスク着用、イベント終了後の談笑や長時間の利用を避ける、といったことが示された。
運営者・従業員に対しては、従業員が施設内感染拡大の要因になり得ることから、感染予防ができるように指導を徹底すること、また適切なマスク着用・手指衛生・換気の徹底が求められている。さらに説明会や講演会の開催にあたっては、屋内で長時間参加者が集まることを避け、屋外での開催やオンラインを組み入れたイベントとなるよう工夫すること、十分な換気が可能な環境の整備を行うことが示されている。換気に関しては、具体的な換気方法が示されているのでぜひ参照していただきたい。
同センターによると、提案の内容は自治体の調査支援後の状況として、あくまで一般的で共通する所見等の早期還元としての位置付けであることに注意してほしいと前置きしているが、こうした知見を取り入れ、取り組みに生かしていくことは大切であろう。感染予防対策を十分に行い、リスクを抑え、参加者や運営者、スタッフみんなが安心して楽しめるコミュニティ活動の工夫が必要である。
詳しくは、下記の各Webサイト参照
・国立感染症研究所ホームページ
「高齢者の会合等、人が集う場面での新型コロナウイルス感染症に関する感染事例の所見と公民館や体育館等を利用する際の感染対策についての提案」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/10686-covid19-21.html
・公益社団法人 全国公民館連合会
「公民館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」
https://www.kominkan.or.jp/file/all/2021/20211019_02guide_ver04.pdf
×close
©DEARCARE Co., Ltd.