2022/1/6
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の出現から約2年が経過し、予防や治療への知見の積み重ねに加え、罹患後についてのデータも蓄積されてきている。そのなかで、ウイルスが陰性となり症状が軽快した後も、罹患後症状(いわゆる“後遺症”や“遷延症状”)が続く患者が少なからずみられることがわかってきている。
罹患後症状としては、全身の倦怠感や関節・筋肉痛、呼吸器症状、味覚・嗅覚障害や集中力の低下など、全身症状から精神症状まで、さまざまなものが報告されている。時間経過とともに軽快するケースが多い一方で、長引く症状によって日常生活や仕事・学業に支障をきたすケースもみられる。病態機序にはまだまだ不明点が多く、感染時の重症・軽症と罹患後症状との関係や、どのような患者で罹患後症状が生じやすいのかなどについても研究途上の部分が多い。
COVID-19罹患者が増えるなか、罹患後症状に悩まされる患者は一定の割合でみられるものの、このような患者への診療とケアの手順が国内で標準化されていない現状では、十分なサポートが行き届かない状況となっている。
このような背景を受け、厚生労働省は、以前から作成している『新型コロナウイルス感染症(COVID-19):診療の手引き』の別冊として、「罹患後症状のマネジメント」をとりまとめた。別冊では、罹患後症状を訴える患者に分野ごとにどのようなアプローチやフォローアップをすればよいか、現在までに得られている知見がとりまとめられている。さらに、専門家の手によらないでも簡単で効果的な指導ができるリハビリテーションの方法や、職場などへの復帰支援についても解説されており、罹患後症状に悩む患者をサポートし、予後の改善につながるような診療・ケアの標準化の第一歩となるものと期待される。
罹患後症状においては、原因や治療方法がわからない、あるいは先の見通せない不安などがさらに症状を悪化させることもある。医学的な診療・治療に加え、患者の訴えを傾聴し、どのようなことが辛いのか、日常生活でどのような点に困っているのかといった、ケアの側面からのサポートとの両輪が大切だ。本冊を罹患者と接するうえでの参考にされたい。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
新型コロナウイルス感染症(COVID-19):診療の手引き 【別冊】罹患後症状のマネジメント
×close
©ALCARE Co., Ltd.