2022/1/20
糖尿病をはじめインスリン分泌に障害がある患者で、日々のインスリン投与が必要になった場合には、自身や家族がインスリンの自己注射を行う。自己注射には、医療従事者でなくても扱いやすいように、インスリン製剤と注入器が一体となったプレフィルドタイプや、ペン型の注入器にカートリッジ製剤を組み合わせて使用するタイプが用いられることが多い。
日本糖尿病学会は、カートリッジ製剤とペン型注入器の組み合わせについて、誤った組み合わせで使用したことにより低血糖や高血糖が生じた事例が多数報告されているとして、注意喚起を行った(*1)。
例として挙げられているのが、A社のペン型注入器にB社のカートリッジ製剤を組み合わせてしまった例と、その逆の例。組み合わせが異なると、適切な量のインスリンが投与できない恐れがあり、低血糖や高血糖がもたらされるリスクがあるため、確実に処方された組み合わせで投与を行う必要がある。
日本糖尿病学会から医療者向けには、各製剤写真入りの詳細な注意喚起が出されている。また、各メーカーからも患者向けに写真入りの資料が作成されているため、カートリッジ製剤を使用中の患者・家族と一緒に実物を見ながら確認し、注意を促すとよいだろう。
病状や生活の変化に伴い、インスリン製剤を作用動態の異なる種類に変更したり、施設への入所や病院の変更などによって製剤メーカーが変更になることはよくみられる。また、自己注射開始当初は自身で問題なく行えていた場合でも、患者が高齢になったり介護度が上がることで、家族による注射が必要になるケースもみられる。
こうした変化が生じたタイミングでは特に、主治医に加え、携わるナース・介護者も、正しく自己注射が行えているかどうかに注意を払うことが大切だ。
【引用文献】
*1 日本糖尿病学会ホームページ:【医療機関の先生方へ】 インスリン カートリッジ製剤とペン型注入器の組み合わせ指導について(2021年11月4日更新).
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=47
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