2022/3/8
日本医療労働組合連合会が毎年実施している、介護施設夜勤実態調査の2021年の結果が公表された。この調査は、介護施設の夜間業務の実態を明らかにし、改善を図るために行われているもので、今回は介護施設142施設、206職場から得られた回答から調査結果をまとめている。
夜勤形態については、87.6%の施設から「2交替制勤務」との回答があり、そのうち8割は、16時間以上の長時間夜勤となっている実情がわかった。過去の調査結果をみても、2交替制が80~90%前後で推移しており、1回の労働時間が長く負担の大きい2交替夜勤から、3交替夜勤への見直しが求められている。
また、夜勤配置としては、特養や老健などで比較的規模の大きい施設では複数名での夜勤体制が取られている施設が多い一方で、グループホームや看護小規模多機能型居宅介護(看多機)など小規模な施設では、1人夜勤体制が多くみられた。
介護の現場においては、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」で定められているような夜勤負担軽減のための指針がなく、月あたりの夜勤日数(回数)にも制限がないのが現状である。長時間の1人夜勤体制が続くことで、勤務者への負担が増大し、ひいては利用者の安全にも影響を及ぼす恐れが懸念される。適切なインセンティブをつけることによる人員配置への見直しと、勤務時間インターバルの確保等の対応が急務となっている。
また、業務負担軽減のためには、近年進化が著しい、AI・ICTや見守り機器の導入・活用も合わせて検討していく必要があるだろう。夜間の定期的な巡回などの一部がこういった機器の活用によって代用できれば、業務負担が軽減でき、人によるケアが必要な業務により注力することができる。
2018年(平成30年)および2021(令和3年)の介護報酬改定では、見守り機器の導入等によって「夜間職員配置加算」の算定要件が緩和されることになり、国としても後押しを進めている。ただしここで誤解してはいけないのは、見守り機器は職員配置を減らすための手段ではない、ということである。離床センサーや監視カメラがあっても、当然それだけで利用者の骨折や転倒等の事故を防ぐことはできない。機器に頼って観察がおろそかになってしまうと、かえって利用者に悪影響をまねくこともある。あくまでも介護行為としての「見守り」をサポートするための1つの手段として、機器から得られた情報を「副次的な観察の目」として適切に活用する視点が必要だ。
【出典】
日本医療労働組合連合会:2021年 介護施設夜勤実態調査.医療労働 No.653,2022年2月号.
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