2022/5/19
国立がん研究センターは、2017年と2018年にがん患者の遺族約110,000人を対象に、がん患者が亡くなる前に利用した医療や療養生活の実態を明らかにする目的で全国調査を行い、有効回答数約54,000人の調査結果を同センターホームページで公表した(2022年3月25日付)。
今回の調査では、がん患者の人生の最終段階における療養生活の全体像、痛み等の苦痛に対する医療者の対応に関する検討、一般病院とがん診療連携拠点病院の療養生活の実態把握が行われた。
調査結果のポイントは、以下のとおりとなっている。
●患者の状況によって、患者・家族が最期の療養場所を選択していたことが示唆された。
・より症状の重い患者・家族は、がん診療連携拠点病院を含む病院の利用を選択していた。
・症状が比較的穏やかで高齢の患者・家族は、介護施設の利用を選択していた。
・医療・介護施設がそれぞれ担う機能に応じて、患者・家族が最期の療養場所を選択していた。
●がん患者の遺族において、82.4%が患者の苦痛症状に対して医療者はよく対応していたと回答した。その一方で、からだの苦痛が少なく過ごせたと回答した割合は、41.5%だった。
⇒基本的な対応では症状を緩和することが困難な場合が一定数存在する可能性がある。痛みを含む症状は、がん患者の療養生活の質に影響する重要な要因であるため改善を図る必要がある。
●がん患者の遺族において、患者と主治医の間で最期の療養場所や医療について話し合いがあったと回答した割合は35.7%だった。
⇒話し合いが十分にできていないことで生じる影響を明らかにし、具体的な対策を検討する必要がある。
国立がん研究センター プレスリリース「がん患者の人生の最終段階の療養生活の実態調査結果 5万人の遺族から見た全体像を公表」(2022年3月25日付)より作成
同センターでは、今後本調査をさらに発展させ、調査結果の推移を把握するため定期的な継続調査を行うとともに、「患者と医療者の間での療養場所や医療に関する情報提供や意思決定支援の把握」や「多死社会を踏まえた、がん以外の疾患も含めた遺族を対象とする調査」などの調査研究を行うことで、わが国の現状をさらに精密に把握し、具体的な政策の提言につなげることができる、としている。
詳しくは、下記の国立研究開発法人国立がん研究センターWebサイト参照
プレスリリース「がん患者の人生の最終段階の療養生活の実態調査結果 5万人の遺族から見た全体像を公表」
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2022/0325/index.html
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