2022/8/18
筑波大学の研究グループは、訪問診療を実施している医師を対象に行った調査によって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行前と比較して、「自宅で最期を迎えたいと考える患者が増えた」「新たに在宅医療(訪問診療)を希望する患者が増えた」ことが明らかになったと発表した。さらに、その理由として最も多く考えられるのは、「入院中の面会制限」であることがわかった。
この調査は、COVID-19のいわゆる「第5波(2021年7月~9月)」の渦中である2021年8月にwebアンケートにて行われたものであり、COVID-19流行前と比較しての在宅医療(訪問診療)を依頼された患者の数の増減や、患者・家族が在宅医療(訪問診療)を希望する理由について尋ねている。
調査の結果、COVID-19の流行前と比較して、以下の傾向が明らかになった。
・自宅で最期を迎える患者が増えた(74.2%)
・新たに在宅医療(訪問診療)を希望する患者が増えた(71.0%)
また、その理由として、回答者の9割以上が挙げていたのが、「入院中の面会制限があるため、多くの患者、家族が在宅医療(訪問診療)を希望している(93.5%)」となっていた。
COVID-19の流行期、特に、感染拡大初期は、大半の病院・施設で患者との面会制限が行われた。重症化リスクの高い高齢者・患者への感染防止のためやむを得ない対応であった一方、長期に家族や外部の人と面会ができないことによる認知機能低下や廃用の進行、臨終の場にも立ち会うことができないなど、課題も浮き彫りになった。
その後、長期化したコロナ禍においては、タブレット端末等を活用してのオンラインでの面会や、十分な感染対策をとったうえでの短時間での面会など、各施設でさまざまな工夫を凝らし、患者と家族がコミュニケーションをとれる機会を増やしている。
今回の研究結果から、入院治療か在宅医療かを検討するうえで、「面会制限」が大きな判断材料になっていることがわかった。同グループは、本調査によって在宅医療(訪問診療)を希望する患者に対応している在宅医療従事者の支援や、入院中の面会制限の運用改善の検討が必要であることが示唆されたとしており、COVID-19感染拡大において、患者・家族に適切な医療サービスを提供するために本調査が活用されていくことが期待される、と結んでいる。
詳しくは、下記の筑波大学Webサイト参照
TSUKUBA JOURNAL
「COVID-19流行によって在宅医療希望者が増加した~入院中の面会制限の運用改善が必要~」
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