2022/8/23
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター在宅医療・地域医療連携推進部はAMED 研究班による「呼吸不全に対する在宅緩和医療の指針に関する研究」の成果として、2022年6月30日に「在宅診療における非がん性呼吸器疾患・呼吸器症状の緩和ケア指針」、「在宅における末期認知症の肺炎の診療と緩和ケアの指針」、「アドバンス・ケア・プランニング支援ガイド」を公表した。いずれの指針・支援ガイドも在宅療養中の呼吸不全患者に対応する内容で、国内では初のものとなる。
各指針・ガイドのポイントは以下のとおり。
▶「在宅診療における非がん性呼吸器疾患・呼吸器症状の緩和ケア指針」
主に慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)による呼吸不全を有する在宅療養者に対応するための包括的緩和診療指針。
先行して発表されている「非がん性呼吸器疾患緩和ケア指針 2021」(日本呼吸器学会および日本呼吸ケア・リハビリテーション学会)等の指針・ガイドラインをもとに作成。
症状緩和のための呼吸リハビリテーションやオピオイド、コルチコステロイドなど、呼吸器症状緩和の手段と実際についてまとめられている。
▶「在宅における末期認知症の肺炎の診療と緩和ケアの指針」
末期認知症の肺炎におけるオピオイドの使用法など、ジレンマの多い局面での対応法を明示。在宅や施設で暮らす重度認知症高齢者にフォーカスし、肺炎の診断から予後予測、呼吸困難の評価法、薬物療法などについて推奨する方針、医学的根拠、解説、課題がまとめられている。
▶「アドバンス・ケア・プランニング支援ガイド-在宅療養の場で呼吸不全を有する患者さんに対応するために」
日本の家族関係のあり方などの文化的特徴をふまえ策定された日本老年医学会の「ACP推進に関する提言」(2019)に準拠し作成。呼吸不全の疾患の経過に沿って、具体的な意思決定支援の方法が示されている。医療・ケアチーム側から本人・家族側へ提供すべき情報や、ACPによる対話をいつはじめるのか、またどのように進めるのかといった、これまで医療従事者が感じていたさまざまな課題に応える内容となっている。
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以上の指針・支援ガイドは、国立長寿医療研究センターのWebサイト「『呼吸不全に対する在宅緩和医療の指針に関する研究』から 新たな指針・支援ガイドの公表」で全文を読むことができる。ぜひ参照されたい。
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