2022/10/20
採血や静脈穿刺の際に血管が見つけにくい患者の場合、穿刺部位を温めて血管を拡張させることで、穿刺しやすくする工夫が取り入れられている。しかしながら、その際に温めたタオルを当てたまま時間が経過してしまい、熱傷をきたした事例が複数報告されており、注意が必要だ。
公益財団法人日本医療機能評価機構によると、静脈穿刺前の血管拡張や温罨法のため温めたタオルを使用した際、患者に熱傷をきたした事例が約4年半のうちに16件報告されている(集計期間:2018年1月1日~2022年6月30日)。
熱傷に至った主な背景としては、以下のようなものが挙げられている。
タオルの当て方 |
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観察不足 |
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アセスメント不足 |
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手順の不備 |
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今回の報告で詳細が取り上げられている2つの事例では、保温庫で温められたタオルを看護師の前腕の内側で熱さを確認したり、患者に熱くないことを確認したりといった温度への注意は払われていたものの、いずれも20分ほど皮膚の観察を行わなかった間に熱傷が生じてしまっていた。
清拭の際などはやや熱めのタオルが好まれる場合もあるが、温罨法等で一定時間同じ部位を温め続けるような場合は、タオルの温度に注意するとともに、温めたタオルが直接患者の皮膚に当たらないように別のタオルやカバーを巻いたり、温めている部位をこまめ(5分毎など)に観察するといった対応が必要だ。
特に、血管確保が困難な患者は、高齢者や浮腫のある患者、慢性疾患などに伴い何度も穿刺を繰り返している患者など、皮膚が脆弱になっている場合も多いと考えられるため、熱傷やスキン-テアにより一層の注意が求められる。穿刺がしづらい場合、患者状態や皮膚の状態をアセスメントしたうえで、温罨法による血管拡張のほかに以下のような手段も検討してみるとよいだろう(詳細は【関連ページ】に挙げたリンク先を参照)。
詳しくは、下記の日本医療機能評価機構Webサイト参照
「医療安全情報No.189(2022年8月) 温めたタオルによる熱傷」
https://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_189.pdf
【関連ページ】
●安全・安楽な末梢点滴の仕方:末梢ルートの上手なとり方と管理方法(解説記事)
https://dearcare.almediaweb.jp/home/cat09/theme001/index.html
●安全・安楽な末梢点滴の仕方:末梢ルートの上手なとり方と管理方法(実践ケア動画)
https://dearcare.almediaweb.jp/home/cat09/theme002/index.html
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