2023/2/7
日本医療機能評価機構が2022年12月23日、「医療事故情報収集等事業第71回報告書」を公表した。対象期間2022年7月~9月の間に報告された医療事故の件数は993件、ヒヤリ・ハット事例の件数は10,415件であった。
医療事故993件のうち、事故の概要として最も多かったのは「治療・処置」355件(35.8%)、次いで「療養上の世話」315件(31.8%)であった。事故の程度を見ると、「障害残存の可能性なし」が300件(30.2%)と最も多いものの、「死亡」に至った事例75件(7.6%)、「障害残存の可能性がある(高い)」事例110件(11.1%)であった。
ヒヤリ・ハット事例では、報告された10,415件のうち、事故の概要として最も多かったのは「薬剤」4,064件(39.0%)、次いで「療養上の世話」1,861件(17.9%)、「ドレーン・チューブ」1,355件(13.0%)と続いた。ヒヤリ・ハット事例の中で医療の実施がされなかった6,716件(64.5%)において、仮に実施された場合の影響度としては、約9割が「軽微な処置・治療が必要もしくは処置・治療が不要と考えられる」であったが、「死亡・重篤な状況に至ったと考えられる」事例も61件(0.9%)あった。あらためて再発予防への取り組み、チェック体制の見直しが求められるところである。
また、今回の分析テーマとして取り上げられたのは、「患者間違いに関連した事例」と「離床センサーが電源の入れ忘れや使用方法の間違いにより作動しなかった事例」だ。前者のテーマは第68回報告書から継続して対象になっており、本報告書では「画面や紙面上で患者氏名を選択する/設定する際に発生した事例」が取り上げられた。後者では、患者の転倒・転落の対策として使用されている離床センサーが適切に使用されていない事例が分析された。どの種類の離床センサーで電源の入れ忘れが多く、どういった場面でそれが起こっているかなど、事例の概要を示したうえで、主な背景要因と改善策が紹介されている。
さらに、再発・類似事例では「中心静脈ラインの開放による空気塞栓症(医療安全情報 No.130)」が取り上げられ、あらためて注意喚起がなされた。
詳しくは、下記の日本医療機能評価機構Webサイト参照
「医療事故情報収集等事業第71回報告書」
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