2023/6/13
離床センサーの電源入れ忘れによって患者の離床を感知せず、その後、患者が転倒した事例が複数報告されている。日本医療機能評価機構によると、2020年1月1日から2023年2月28日の約3年間の集計期間で、電源の入れ忘れに伴い患者の離床を感知できなかった事例は26件となっている(医療安全情報No. 197)。
具体的に取り上げられた事例は、次の2つである。
●事例1●
看護師は、患者のベッドの右側にマットセンサーを設置した。設置時は、マットを踏んで作動確認をすることになっていたが、他患者からナースコールがあり、看護師は作動確認をせずにその場を離れた。30分後、大きな音がして訪室すると、患者が仰向けに倒れていた。マットセンサーの電源は入っていなかった。その後、CT検査を行い、第1腰椎圧迫骨折と診断された。
●事例2●
作業療法士は患者を車椅子でリハビリテーション室に連れて行く際、ベッドセンサーの電源を切った。そのことをリーダー看護師に伝えたが、受け持ち看護師には伝わっていなかった。リハビリテーション後、患者がベッドに戻った際、受け持ち看護師は、患者が臥床していることを確認したが、ベッドセンサーの電源が入っているかは確認しなかった。その後、訪室した際に、ベッドサイドで倒れている患者を発見した。ベッドセンサーの電源は入っていなかった。X線検査を行い、肋骨骨折と診断された。
このほか、トイレやリハビリテーションで患者が部屋を離れ、帰室後に電源を入れ忘れた例、排泄介助後に電源を入れ忘れた例など、処置などに伴い電源をいったん切った後に入れ忘れた例が複数みられた。
離床センサーを設置した際は、設置者がマットを踏む、クリップを外してみるなどして、作動確認を行う決まりがある施設も多いだろう。これらを毎回確実に行うとともに、電源の入れ忘れが生じやすい場面を認識し、訪室時にも離床センサーの電源が入っていることを確認するなどの取り組みが求められる。
詳しくは、下記の日本医療機能評価機構Webサイト参照
医療安全情報No.197(2023年4月)「離床センサーの電源入れ忘れ」
https://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_197.pdf
【関連ページ】
●転倒リスクに気づき、転倒を予防する
https://www.almediaweb.jp/expert/feature/1911/index.html
●「ディアケア プレミアム」
認知症の方を身体拘束しないためのかかわり方の基本と対応の実際(実践ケア動画)
https://dearcare.almediaweb.jp/home/cat11/theme002/index.html
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