2023/9/5
神戸大学の研究グループは、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease;CKD)を保有する高齢心不全患者を対象に、入院中の腎機能悪化(Worsening renal function;WRF)の重症度と、退院時低身体機能との関連性を明らかにしたと発表した(2023年6月20日付)。
同研究グループでは、すでに先行研究で、高齢心不全患者の入院中のWRFが退院時の日常生活動作(ADL)の低下の要因であることを明らかにしていたが、WRFの重症度と低身体機能との関連についてはわかっていなかった。そこで、今回、WRFの重症度に着目し、退院時低身体機能との関連性について調査が行われた。
調査対象は2017~2020年の間に急性心不全または慢性心不全急性増悪により入院した196名。65歳未満、入院前歩行不能、入院中の死亡、データ欠損、非慢性腎臓病などの患者は除外された。
入院中のWRFの重症度は、血清クレアチニンの入院時からの入院中の最大値までの変化量によって「重症WRF」(≧0.5mg/dL)、「中等症から軽症WRF」(≧0.2~<0.5mg/dL)、「WRFなし」(<0.2mg/dL)の3群に分類。背景因子、臨床パラメータ、入院前歩行レベル、入院時と退院時のADL、身体機能について比較検討を行い、入院中のWRFの重症度と低身体機能との関連について統計学的な調査が実施された。
その結果、重症WRFの割合は28.1%、3群間における入院前歩行レベルに差はなかったものの、重症WRFは退院時低身体機能や低ADLに陥ることが明らかにされた。
この結果を受けて、同研究グループでは、入院中の重症WRFだけでなく、早期離床、栄養状態、入院前歩行レベルなども退院時低身体機能に関連していたことから、慢性腎臓病を保有する高齢心不全患者の退院時低身体機能を予防するためには、急性期治療過程におけるWRF重症化の回避、早期離床や栄養状態の改善、在宅における介護保険下によるリハビリサービスの拡大なども重視すべき課題だと述べている。
詳しくは、下記の神戸大学のプレスリリース参照
「慢性腎臓病を保有した高齢心不全患者における入院中の腎機能悪化の重症度と退院時低身体機能の関連性を解明」
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2023_06_20_01.html
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