2024/1/10
厚生労働省は、2023年11月30日の通知にて、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&Aの改訂を発表した。今回の改訂では、『遠隔健康医療相談』に関するQ&Aが追加されている。
『遠隔健康医療相談(医師以外)』は、「遠隔医療のうち、医師又は医師以外の者-相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行うが、一般的な医学的な情報の提供や、一般的な受診勧奨に留まり、相談者の個別的な状態を踏まえた疾患のり患可能性の提示・診断等の医学的判断を伴わない行為。」と、同指針内で定義されている。
今回のQ&Aの改訂では、この「一般的な医学的な情報の提供や一般的な受診勧奨」について、以下のようなことが可能であるとの回答が示された。
・あらかじめ医師の監修の下で策定されたマニュアル等に従い、年齢、性別、身長・体重(BMI)といった相談者の属性や症状(発症時期、痛みの程度等)を踏まえ、一般的に可能性があると考えられる疾病についての情報提供や、採血や血圧等の検査(測定)項目に係る一般的な基準値についての情報を提供すること
・医学的判断を要さずに社会通念上明らかに医療機関を受診するほどではないと認められる症状の者に対して経過観察や非受診の指示を行うこと、患者の個別的な状態に応じた医学的な判断を伴わない一般的な受診勧奨を行うこと
上記の補足情報として、子ども医療電話相談事業において、患者の個別的な状態に応じた医学的な判断を伴わない一般的な医学的な情報提供や一般的な受診勧奨が実施されていること、その際、看護師による応答マニュアルを活用している都道府県があることも紹介されている。
本Q&Aのなかでは、具体例として、腰痛に関する相談と、高血圧に関する相談について、看護師(医師以外)が実施可能なことと実施不可なことが取り上げられた。後者については以下のとおり。
高血圧の相談に対し、
【実施可】
①「日本高血圧学会の診断基準では収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を高血圧としています。」と伝える行為
②①を伝えた上で、「高血圧が気になる場合には、まずは循環器内科等の内科を受診してください。」と伝える行為
③日本高血圧学会の診断基準に照らし高血圧に該当せず、その他の異常がない患者に対して、経過観察の指示をすること
【実施不可】
④「あなたは高血圧症です。」と判断して伝える行為→診断にあたる
また、「看護師が医師の指示・監督のもと、『患者個人の心身の状態に応じた必要な医学的助言』を行うことは可能でしょうか」との疑問に対しては、「看護師が、遠隔健康医療相談の対応をするにあたって、聞き取った患者個人ごとの心身の状態を医師に伝達し、当該医師の当該患者ごとに行う指示・監督の下で、当該医師の指示・監督の範囲内での『患者個人の心身の状態に応じた必要な医学的助言』を行うことも可能です」、との回答がなされた。
なお、これらに関する留意事項として、以下の点もおさえておきたい。
・患者の個別具体的な症状に基づいて、当該患者個人に関して疾患の罹患可能性の提示や診断等を行うことは、医学的判断を含む行為であり、オンライン診療又はオンライン受診勧奨に該当するため、医師・医師以外のいずれも「遠隔健康医療相談」として実施することはできないこと
・遠隔健康医療相談は、オンライン診療実施前に医師が実施する「診療前相談」とは異なる行為であるため、実施した遠隔健康医療相談を「診療前相談」として取り扱った上でオンライン診療を実施することはできないこと
・マニュアルを監修する医師については、専門の医師等、当該マニュアルを監修する医師として適切な者を選ぶことが望まれること
詳しくは、下記厚生労働省Webサイト参照
オンライン診療に関するホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html
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