2024/2/6
早稲田大学らの研究グループが、65歳以上の高齢者4,159名を対象に調査を行い、高齢者の歩数に応じた死亡リスクが最も低くなる1日当たりの最適なエネルギー摂取量を世界で初めて解明したと発表した。
エネルギー摂取量は、エネルギー出納(エネルギー摂取量と消費量のバランス)を維持することで、体格の維持や、たんぱく質などの栄養素による生体機能調節を効率よく発揮するために重要である。また、身体活動によるエネルギー消費量はエネルギー出納を調整するために重要で、体格は死亡リスクと密接に関係している。したがって、同研究グループでは高齢者の体格に影響を及ぼすエネルギー摂取量と身体活動量を同時に評価・分析することが重要とし、これまで不明であった高齢者の死亡リスクに対するエネルギー摂取量と身体活動量の組み合わせ効果を検証した。
本研究でわかったこととして次の3点が示された。
■1日当たりの歩数が4,000歩未満の者が歩数を増やすことでエネルギー摂取量が増加するが、4,000歩以上の者が歩数を増やしてもエネルギー摂取量の増加効果は見られなかった。
■歩数(5,000歩/日以上)とエネルギー摂取量(男性: 2,400 kcal/日以上、女性: 1,900 kcal/日以上)のどちらも高い者が最も死亡リスクが低かったが、死亡リスクに対する歩数とエネルギー摂取量の相互作用効果は見られなかった。
■高齢者の死亡リスクが最も低くなる最適なエネルギー摂取量(※)は、歩数100歩あたりのエネルギー摂取量が35~42 kcal/日であった。
※【エネルギー摂取量】 食品に含まれるたんぱく質、脂質、炭水化物およびアルコールが身体の中で代謝されることで得られる利用可能なエネルギー量の合計値のこと
以上の結果から、歩数が約4,000歩未満の高齢者に対しては、食欲不振による必要なエネルギーおよび栄養素の不足を回避するために、歩数を含む身体活動量の改善が有効である可能性、「たくさん食べて・身体をたくさん動かす」ことの重要性、また身体活量に応じたエネルギー摂取量が高齢者の寿命を延長させるために重要な可能性が示唆されたとのこと。
同研究グループは、今回の知見を活かし、健康のための身体活動量に応じた最適な栄養摂取量を明らかにしていきたいとしている。加えて、高齢者においては、一人ひとりの歩数から食事量の目安を計算できるようになった点に注目してほしいと述べている。
詳しくは、早稲田大学Webサイト(2024年1月9日<プレスリリース>「高齢者に最適なエネルギー摂取量は?」(早稲田大学 研究活動))参照
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