2024/7/9
厚生労働省は、末期がん患者など、心身の状況が急速に悪化する患者については、医療機関における適切な対応や迅速なケアプランの作成、迅速な認定調査の実施などが重要として、具体的な取扱いを周知した。これは、事務連絡「がん等の方に対する速やかな介護サービスの提供について」(令和6年5月31日)にて発出したもの。
通常、要介護認定の申請を行ってから区分認定をされるまでには約1か月間かかるが、その間に病状が進んでしまうと必要な支援を受けられずに死亡してしまうケースもあるという。
実際に、国立がん研究センターが2022年に行った「がん患者の療養生活の最終段階における実態把握事業」の調査報告書(遺族調査)では、以下のような結果が明らかになっている。
●死亡前6か月間に介護保険を「1回も利用したことがない」と回答した20,807名のうち、4,849名(23.3%)が「申請したが利用できなかった」、1,565名(7.5%)が「介護保険を知らなかった」
●「申請したが利用できなかった」と回答した人のうち約半数(49.8%、2,413名)が「介護認定に必要な調査を受ける前に患者が亡くなった」
厚生労働省は、がん患者のうち急速に病状が変化する患者に対して、要介護認定の手続きや速やかな介護サービスの開始について特段の配慮が求められるとし、以下の項目について具体的な取扱いを整理した。
1 迅速なサービス提供の開始に向けた暫定ケアプランの作成等について
・要介護認定の申請を受けた後、認定結果が出る前の段階であっても、暫定ケアプランを作成して、介護サービスの提供を開始する など
2 迅速な要介護認定の実施について
・申請者が入院中の場合、オンラインによる認定調査を実施できる
・主治医意見書の様式に定められた項目のうち、一部のみを記載したものでも提出・受理可能
・一次判定ソフトを用い、一時判定結果を介護支援専門員に共有し、暫定ケアプランの更新等に活用
・急激な心身の状況の変化に対応するため、必要に応じて実施する など
3 介護認定審査会の柔軟な運用について
・合議体の構成(3名でも可能)や開催方法(オンラインまたは持ち回り)に関する柔軟な対応により、緊急で要介護認定が必要となる患者に対応する
4 医療機関における適切な対応について
・介護保険サービスが利用できること等についてがん等の患者に案内する など
5 福祉用具貸与の取扱いについて
・要支援および要介護1の患者であっても福祉用具を貸与できる など
詳しくは、下記の厚生労働省のWebサイト介護保険最新情報参照
介護保険最新情報vol.1266(令和6年5月31日厚生労働省老健局老人保健課ほか連名事務連絡)
https://www.mhlw.go.jp/content/001259236.pdf
(2024年6月25日アクセス)
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