2025/6/11
在宅医療・介護の現場で、利用者や家族からの暴言や威圧的な態度といった「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が深刻な問題となっている。こうした中、東京都、北海道、群馬県では、2025年4月1日、「カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行。行政を含む地域全体でのカスハラ対策が求められている。
本条例では、カスハラの禁止を明記するとともに、その定義や、各都道県・顧客・就業者・事業者それぞれの防止に関する責務が規定された。罰則規定こそないものの、行為の内容によっては法律に基づく処罰対象となる可能性もある。
訪問看護師や介護スタッフは、利用者の自宅という閉鎖的な空間で、1対1の関係性でサービスを提供する特性から、ハラスメント被害を受けやすい構造的な課題を抱えている。
全国訪問看護事業協会と日本訪問看護財団が2025年4月に実施した緊急アンケートによると、回答のあった事業所のうち約65%が、職員(管理者を含む)から過去にカスハラを受けたと報告されたことがあるとしている。カスハラの内容としては「威圧的な言動」「精神的な攻撃」「性的な言動」の順に多かった。
さらに、同調査では、地域におけるハラスメント対策に関する補助制度について「わからない・把握していない」との回答が70%以上にのぼった。日本訪問看護財団によると、訪問看護のカスハラ対策は、地域医療介護総合確保基金(医療・介護分)でメニュー化されているものの、実際に事業化している自治体はわずか数か所にとどまっているという。このような現状を受け、財団では行政による支援内容の充実に加え、ステーションの管理者がその内容を十分に認知できるよう、周知広報の強化が必要と述べている。
各都道県の「カスタマー・ハラスメント防止条例」についてはこちらから
▼東京都
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/plan/kasuhara_jourei/index.html
▼北海道
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/rkr/hokkaido-kasuhara.html
▼群馬県
https://www.pref.gunma.jp/page/688104.html
「訪問看護におけるカスタマーハラスメントの状況調査結果」についてはこちらから
▼日本訪問看護財団
https://www.jvnf.or.jp/blog/info/r7_chosa_harassment
▼全国訪問看護事業協会
https://www.zenhokan.or.jp/new/new2585/
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