2025/7/8
現場では、医療と介護の複合的ニーズを抱えた利用者が増加してきており、医療と介護の連携がよりいっそう重要になっている。介護職員が医療職と連携しながら行うべき行為が、「原則として医行為ではない行為」である。
これまでも、医行為に該当しないとされる行為については、厚生労働省の通知(平成17年7月26日付医政発第0726005号および令和4年12月1日付医政発1201第4号)などで一定の解釈が示されてきた。しかし、介護現場では、利用者の病状や状況によっては医行為とみなされるケースもあり、職員が判断に迷う状況が続いていた。
「原則として医行為ではない行為」は、以下 分類の39項目となり、それぞれに通知上の条件が示されているので精読していただきたい。①血圧等測定、②血糖測定、③在宅介護等の介護現場におけるインスリンの投与の準備・片付け、④経管栄養、⑤食事介助、⑥喀痰吸引、⑦在宅酸素療法、⑧膀胱留置カテーテル、⑨排泄、⑩その他、⑪服薬介助。
今回のガイドラインでは、現場における判断の一助となることを目的とし、例えば以下のような行為について、実施の要件や手順、緊急時・異常時の対応に加え、介護職員として必要な知識などが具体的に示された。
· 膀胱留置カテーテルを挿入している利用者の陰部洗浄
· ストーマ装具の排泄物の処理
· 爪切り
· 耳垢の除去
· 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等の処置をすること など
また、すべての行為に共通する感染対策についても、包括的に解説されている。
介護職員は、「原則として医行為ではない行為」について、利用者の生命や生活の質に影響を与える介護行為であることを自覚した上で、実施する必要がある。同時に、日常生活でのかかわりも重要であり、利用者の状態が安定している場合でも、医療職と連携して当該行為を実施することが望ましい。介護職員として必要な知識を身につけ、日常生活での利用者の観察と医療職との連携により、利用者の安全・安心、生活の質向上に貢献することが求められている。
ガイドラインは、各施設における研修教材やマニュアル作成にも活用できる内容となっており、サービスの質と安全性の向上にもつながることが期待される。施設の管理職にとっても、介護職員が安心して業務に取り組めるよう、現場での適切なケアの実施に役立てられる内容となっている。
ガイドラインは以下のWebサイトにて閲覧・ダウンロードが可能
日本経済研究所:令和6年度老人保健健康増進等事業 介護現場における医行為ではない行為に関する調査研究
https://www.jeri.co.jp/report/elderlyhealth-r6/
【参考】
厚生労働老健局:「原則として医行為ではない行為」に関するガイドラインについて(通知)
×close
©DEARCARE Co., Ltd.