2015/07/31創傷ケア
看護師の業務は、「療養上の世話」と「診療の補助」に分けられる。本来、医師(または歯科医師)が行う医行為である「診療」の補助は、「医師の指示に基づく」という条件のもとに看護師が行うことができる業務で、医療において非常に重要な業務の一つといえる。
この診療の補助行為のうち、医師または歯科医師があらかじめ作成した「手順書」に基づいて、「直接指示」ではなく「包括的指示」のもとに行える行為が「特定行為」とされている。特定行為は、医師または歯科医師の判断を待たずに看護師が行えるため、患者の状態を見ながらタイムリーに対応できることになり、患者にとってのメリットも大きい。
特定行為を行うにあたっては、実践的な理解力、思考力および判断力、高度かつ専門的な知識・技能が必要なため、看護師は「特定行為研修」を修了する必要がある。この特定行為研修は、来る10月1日から開始される。いよいよ看護師の特定行為が動き始めるのである。
看護師が手順書によって行える特定行為は38行為(21区分)あり、創傷管理関連では、「褥瘡または慢性創傷の治療における血液のない壊死組織の除去」「創傷に対する陰圧閉鎖療法」が挙げられている。これらデブリードマンと陰圧閉鎖療法は、褥瘡治療・ケアにおいて、日頃看護師がかかわっている業務の一つであるため、皮膚・排泄ケア認定看護師をはじめ看護師の関心の高いものである。そのほか、クリティカルケア領域では、気道確保にかかるもの、人工呼吸療法にかかるもの、ドレーン抜去や薬剤投与関連など幅広い行為がある。
特定行為研修は、国が指定する指定研修機関で行い、研修修了後には指定研修施設から修了証が交付されるほか、当機関は修了者の名簿を厚生労働省に提出することとなっている。
今後、それほど遠くない将来、医師の直接指示によらない包括的指示のもとに、特定行為を行う看護師が現場で活躍する日が来るだろう。
特定行為区分 | 特定行為 |
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呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 侵襲的陽圧換気の設定の変更 |
非侵襲的陽圧換気の設定の変更 | |
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整 | |
人工呼吸器からの離脱 | |
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 | 気管カニューレの交換 |
循環器関連 | 一時的ペースメーカの操作及び管理 |
一時的ペースメーカリードの抜去 | |
経皮的心肺補助装置の操作及び管理 | |
大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助頻度の調整 | |
心 |
心 |
胸腔ドレーン管理関連 | 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及び設定の変更 |
胸腔ドレーンの抜去 | |
腹腔ドレーン管理関連 | 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された |
ろう孔管理関連 | 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換 |
膀胱ろうカテーテルの交換 | |
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 | 中心静脈カテーテルの抜去 |
栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連 | 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入 |
創傷管理関連 | |
創傷に対する陰圧閉鎖療法 | |
創部ドレーン管理関連 | 創部ドレーンの抜去 |
動脈血液ガス分析関連 | 直接動脈 |
透析管理関連 | 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 |
脱水症状に対する輸液による補正 | |
感染に係る薬剤投与関連 | 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与 |
血糖コントロールに係る薬剤投与関連 | インスリンの投与量の調整 |
術後 |
硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 |
持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整 | |
持続点滴中の降圧剤の投与量の調整 | |
持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 | |
持続点滴中の利尿剤の投与量の調整 | |
精神及び神経症状に係る薬剤投与関連 | 抗けいれん剤の臨時の投与 |
抗精神病薬の臨時の投与 | |
抗不安薬の臨時の投与 | |
皮膚損傷に係る薬剤投与関連 | 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整 |
詳しくは、厚生労働省の下記サイトへ。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html
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