2016/02/5創傷ケア
寒い季節になると後を絶たないのが高齢者のやけど事故だ。消費者庁では「高齢者のやけどに注意を」と呼びかけている。
消費者庁には、65 歳以上の高齢者が不注意や暖房器具等の誤使用によりやけどを負ったという事故情報が338 件寄せられている。そのうち56 件(16.6%)は入院治療を要し、死亡に至った事故も2件あったという(平成21年9月1日から平成27 年9月末日まで)1)。やけどの事故は12 月~2月に多く発生していて(図1)、特に注意が必要と訴えている。
図1 月別平均発生件数(平成23年度~平成26年度、n=238)
高齢者は若年者に比べて皮膚が薄く、また、運動機能や感覚機能が低下するため重篤なやけどになる場合も多い。高齢者に多いやけどは、①低温やけど、②着衣着火、③ストーブの上に置いたやかん等の熱湯を浴びる事故、④入浴に際しての事故、である。
① 低温やけど
高齢者の低温やけどの事故情報は119 件で、うち10 件は入院治療を要した。原因製品は、カイロが最も多く、次いで、湯たんぽ、ストーブ類、電気毛布、あんかの順となっている。低温やけどは普通のやけどに比べて痛みが少なく、水ぶくれなどもできにくい。乾燥していることが多いため、一見軽そうに見えるが、熱の作用が長時間に及ぶため深いやけどになっていることも多い。
低温やけどを防ぐためには、長時間同じ場所を温めないことが重要だ。44℃では3~4時間、46℃では30 分~1時間、50℃では2~3分で皮膚が損傷を受けると言われている。低温やけどは水で冷やしても効果がないため、痛みや違和感がある場合は医療機関を受診することを呼びかけている。
② 着衣着火
高齢者の着衣着火によるやけど事故情報は20 件で、うち15件は入院治療を要し、2件は死亡事例であった。着火源としては仏壇のろうそくの火、ガスコンロの順となっている。
③ ストーブの上に置いたやかん等の熱湯を浴びる事故
ストーブの上に置いていたやかんや鍋を倒して熱湯を浴びたという事故は13 件で、うち6件は入院治療を要した。熱湯を浴びたときは、すぐに水で十分に冷やす必要がある。着衣の上から熱湯を浴びた場合は無理に脱ごうとせず、衣服を着たまま冷やすことを呼びかけている。
④ 入浴に際しての事故
入浴の際にやけどを負ったという事故は11 件、うち5件は入院治療を要した。入浴に際してのやけど事故を防ぐためには、高齢者がお風呂に入る前に、浴槽やシャワーの湯温が適温かを確認することを呼びかけている。
さらに同庁では、高齢者のやけどの事故を防ぐためには、本人だけでなく家族や介護者、周囲の人間が日頃から注意を払うことが大切と呼びかけている。
詳しくは、下記の消費者庁Webサイト参照
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/151118kouhyou_1.pdf
1)消費者庁発足以降、医療機関ネットワーク(238 件)及び事故情報データバンク(100 件)に寄せられた事故情報。
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