2016/02/10創傷ケア
褥瘡に対する医療・保健・福祉面での取り組みは、日本褥瘡学会などの学術団体の活動等を通じて大きく発展してきている。その結果は、日本褥瘡学会が行った日本褥瘡学会実態調査委員会(平成24年度)の報告で、一般病院での褥瘡有病率1.99%という数字に現れている1)。
こうした専門職の動きに呼応して、褥瘡患者とその家族が家族会を作って活動を始めた。「褥瘡患者と家族の会」(会長・大住章二氏)は、褥瘡患者及びその家族等が、褥瘡の管理(予防、治療)に関する正しい知識を持ち、早期回復を図ると共に、社会から褥瘡患者を減らしていくため、会員が相互にその環境を築き合うことを目的とする会である。
大住会長は、日本褥瘡学会、日本在宅褥瘡創傷ケア推進協会の活動によって褥瘡患者数が大きく減少していることを評価しながらも、患者を取り巻く社会環境は今後かなり厳しい状況が続くと言及している。行政主導による在宅療養化に向けた動きが強まるなかで、「それを支える国民の褥瘡に関する認知度はまだまだ低く」「多くの家族が褥瘡の予防知識もないまま在宅介護を始めるということ」自体が大きなリスク要因となることから、患者・家族会を立ち上げた。
さらに、「褥瘡は絶対につくらない」という意識も、またケアに関する正しい知識もない、そんな職員が多数存在する施設へ入院・入所してしまい、もしも褥瘡を発症してしまった場合、国民が不幸になるとも強調している。
会員になれるのは、現在褥瘡に罹患している患者、またはその家族、あるいは過去に褥瘡の経験を持つ人とその家族、そして医療従事者・介護職とされている。
会の活動としては以下のようなことが挙げられている。
専門的なバックアップは、日本在宅褥瘡創傷ケア推進協会との連携のもとに行われており、相談できる医師の信頼性も高い。
医療は、本来専門職だけのものではなく、患者本人・家族が主役になることが望ましい。そういう意味でも、専門職と患者・家族との有機的なコラボレーションが現場レベルで望まれている。
詳しくは、下記の褥瘡患者と家族の会Webサイト参照
http://tokozure-kazoku.jimdo.com/
1) 日本褥瘡学会実態調査委員会:第3回(平成24年度)日本褥瘡学会実態調査報告1 療養場所別褥瘡有病率,褥瘡の部位・重症度(深さ).褥瘡会誌,17(1):58-68,2015.
■上記ニュースに関連したディアケアコンテンツをご覧いただけます。
×close
×close
©DEARCARE Co., Ltd.