2016/11/18創傷ケア
「褥瘡」の英訳は“pressure ulcer”というのが一般的である。その他、“decubitus”“pressure sore”“bedsore”などの表記がある。2016年4月、米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel:NPUAP)では、“pressure ulcer”から“pressure injury”へと用語を変更した。さらに、その用語を使用して褥瘡深達度分類も改訂版を公表した。その通知は下記のものだ。
National Pressure Ulcer Advisory Panel(NPUAP)announces a change in terminology from pressure ulcer to pressure injury and updates the stages of pressure injury.
このように、“pressure ulcer”を“pressure injury”としたことにより、従来のStage分類でのStageⅠとDTI (Deep Tissue Injury)は「皮膚損傷(皮膚欠損)はない」とされ、ほかのStageでは「潰瘍」と表現されていたが、“pressure injury”とすることで、皮膚欠損の有無と深達度の違和感・困惑を解消したと考えられる。
改訂前の褥瘡カテゴリ分類としては、2009年のNPUAP-EPUAPカテゴリ分類がある。それまでは、NPUAPではStage分類、EPUAPではGrade分類が用いられていたものを、Categoryという名称で統一したものだ。CategoryⅠは「消退しない発赤」、CategoryⅡは「部分層欠損創」または「水疱」、CategoryⅢは「全層皮膚欠損創」、CategoryⅣは「全層組織欠損」を指していた。また、米国向けの追加のカテゴリとしてUnstageable「判定不能」とSuspected Deep Tissue Injury「深部組織損傷疑い」の2つがあった。それが今回の改訂では、以下のように記されている。
Pressure Injury:
A pressure injury is localized damage to the skin and/or underlying soft tissue usually over a bony prominence or related to a medical or other device. The injury can present as intact skin or an open ulcer and may be painful.
The injury occurs as a result of intense and/or prolonged pressure or pressure in combination with shear. The tolerance of soft tissue for pressure and shear may also be affected by microclimate, nutrition, perfusion, co-morbidities and condition of the soft tissue.
その他の変更点としては、以下の点が挙げられる。
このようにNPUAPによる“pressure injury”への用語変更や新しい深達度分類について、EPUAPではその承認を現在検討中としている。一方、米国WOCN協会、CAET(カナダ)、PPPIA(Pan Pacific Pressure Injury Alliance)ではすでに変更している(2016年8月30日現在)。
詳しくは、以下のNPUAP Webサイト参照
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