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2018/6/28

日本皮膚科学会のアクティブな活動:褥瘡診療ガイドライン、皮膚疾患ケア看護師制度

公益社団法人日本皮膚科学会では、ガイドラインの作成、学会認定看護師制度の発足など、アクティブな活動を展開している。同学会では、これまでも各種皮膚疾患の診療ガイドラインを作成してきているが、これらは、最も標準的かつ最善と思われる診療を提示しようとするもので、主として皮膚科医による診療を想定していた。今回、新たに公開したのが「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2:褥瘡診療ガイドライン」である。

褥瘡のガイドラインとしては、すでに2009年に日本褥瘡学会から出されている「褥瘡予防・管理ガイドライン」がスタンダードとなっている。当ガイドラインは2015年に出された第4版が最新で、医師、看護師、栄養士、薬剤師、理学療法士・作業療法士などチーム医療の充実を目指し、予防・ケアに重点を置いたものとなっている。今回、日本皮膚科学会で公表したガイドラインは、治療に重点を置いた「診療ガイドライン」となっている。褥瘡学会のガイドラインと同様、褥瘡の予防・ケア・治療における臨床決断を支援する推奨を、エビデンスに基づいて提示している。

エビデンスレベルはIからVIまでに分類され、推奨度は、「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」を参考にしている。推奨の強さは、「1:推奨する」「2:選択肢の1つとして提案する」の2通りで提示している。使用したデータベースは、Medline、PubMed、医学中央雑誌Web、ALL EBM ReviewsのうちCochrane database systematic reviewsなどの他、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティック・レビュー、個々のRCTの論文を優先し、コホート研究、症例対照研究なども採用している。

CQ(Clinical Question)は、全部で35あり、「褥瘡かどうか」「予防、ケア、危険因子の評価」「急性期の褥瘡」「浅い褥瘡」「深い褥瘡」「改善しているか」「他の治療法の選択」の各領域に分けて展開している。特に、治療に特化しているため、「感染を制御する時の局所処置にはどのような外用薬を用いればよいのか?」「黒色期~黄色期褥瘡で滲出液が過剰な時の局所処置にはどのような外用薬を用いればよいのか?」「ポケットがある時はどのような局所治療を行えばよいのか?」などの項目が多い。褥瘡学会のガイドラインと見比べて、推奨される方法を検討するとよいかも知れない。

皮膚科学会認定の看護師としてこの4月から発足した「皮膚疾患ケア看護師制度」は、以前から開催されていた「スペシャリティーナース講習会」を発展させたものだ。皮膚科看護のより高度な知識を習得し患者ケアを行うことを目的としている。通算3年以上、皮膚疾患ケアに従事している看護師で、日本皮膚科学会認定皮膚疾患ケア看護師研修カリキュラムを履修することが要件となっている。学会認定看護師としては、日本創傷・オストミー・失禁管理学会でスタートさせた「臨床スキンケア看護師」がある。これは、一般ナースが臨床現場で優れたスキンケア技術を発揮することを目指したもので、この2つの制度の動向が注目される。

詳しくは、下記の公益社団法人日本皮膚科学会Webサイト参照

・創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-2:褥瘡診療ガイドライン

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/2bedsore_guideline.pdf

・皮膚疾患ケア看護師制度

https://www.dermatol.or.jp/modules/dermanursecare/index.php?content_id=2

  • ※この記事内容は公開当時の情報です。ご留意ください。

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