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2018/12/13

褥瘡有病率の最新調査発表―学会の各種取り組みが奏功

日本褥瘡学会では、褥瘡有病率や有病者の特徴について、過去3回にわたって実態調査を行ってきた。今回、2013年実施の第3回から3年を経て、4回目の実態調査が行われた。それによると、一般病院の褥瘡有病率は1.99%から2.46%に、療養型病床を有する一般病院の有病率は2.20%から2.81%にと有意に上昇していた。その一方で、訪問看護ステーションの有病率は2.61%から1.93%へと減少していた()。おおまかな実態を紹介する。

表 調査施設における褥瘡有病率(%)の変化
施設区分 第4回 第3回 有病率の差
(第4回-第3回)
一般病院 2.46 1.99 0.47*
一般病院1 2.81 2.20 0.61*
大学病院 1.58 1.39 0.19
精神病院 0.80 0.46 0.34
小児専門病院 1.50 1.47 0.03
介護老人福祉施設 0.77 0.89 △0.12
介護老人保健施設 1.16 1.27 △0.11
訪問看護ステーション 1.93 2.61 △0.68*

1:療養型病床を有する一般病院  △:マイナス  *p<0.05

褥瘡有病者のうち施設内発生の割合が多いのは、小児専門病院(89.7%)、介護老人福祉施設(75.0%)、介護老人保健施設(71.6%)となる。一般病院での施設内発生率は45.5~48.7%と低く、自施設以外で発生したいわゆる“持ち込み褥瘡”が多いことがわかる。
褥瘡患者の年齢は、一般病院、大学病院、精神病院では75~84歳の割合が多く、療養型病床を有する一般病院、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、訪問看護ステーションでは85~94歳の割合が最も多かった。
性別では、男性のほうが多いのは一般病院(54.8%)、大学病院(59.2%)で、その他の施設では女性が半数を超えていた。

褥瘡の発生部位を見てみよう。仙骨部が最も多く、一般病院(28.0%)、療養型病床を有する一般病院(38.6%)、大学病院(28.6%)、小児専門病院(13.3%)、介護老人保健施設(35.4%)、訪問看護ステーション(30.0%)であった。精神病院で最も多いのは踵部(28.6%)、介護老人福祉施設では尾骨部(23.4%)であった。
褥瘡の深さは、ほとんどの施設で「d2」(真皮までの損傷)が最も多かったが、精神病院は、「D3」(皮下組織までの損傷)と「D4」(皮下組織を越える損傷)、さらには「D5」(関節腔、体腔にいたる損傷)までも多く、精神病院での褥瘡は深刻であることがわかる。

DESIGN-R®の合計点では、すべての施設で9点以下(1ヵ月未満に治癒)であった。ただし、重症度の高い褥瘡が多い精神病院では、10~18点(3ヵ月以内に治癒)と治癒が遅れていることがわかる。

日本褥瘡学会の実態調査委員会では、2006年に第1回目の調査を行っているが、2013年実施の調査からは「自重関連褥瘡」と「医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)」を区分して調査されていたため、「MDRPU」も褥瘡に含めての調査は、今回の4回目調査が初めてとなる。そのため、第3回から4回にかけて、「MDRPU」が多く発生している病院のような施設では褥瘡有病率が高くなったものと考えられる。この調査結果をもとに、日本褥瘡学会では、第1回から第4回までを比較すると、褥瘡の発生率が徐々に減少している実績を示して、学会が行ってきた学術集会、教育セミナーなどの開催や、褥瘡予防・管理ガイドラインの作成、ガイドブックの刊行、eラーニングシステムの構築などの教育機会の普及が功を奏していると分析している。

詳しくは、下記の文献参照。

日本褥瘡学会実態調査委員会:第4回(平成28年度)日本褥瘡学会実態調査委員会報告1 療養場所別自重関連褥瘡と医療関連機器圧迫創傷を併せた「褥瘡」の有病率、有病者の特長、部位・重症度.日本褥瘡学会誌;20(4):2018:423-445.

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