2020/6/15
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染した患者を受け入れるための病棟および医療従事者の感染予防対策が急ピッチで進められている。医療従事者への感染を防ぐためには、防護服に加えゴーグルや手袋、そしてマスクの着用が欠かせない。
このような状況下で、医療従事者達の間で悩みの種となっているのが、顔への密着性の高いN95マスクの長時間の装着に伴い、圧がかかりやすい鼻根部や頬骨、下顎部などに生じる医療関連機器圧迫創傷(MDRPU:Medical Device Related Pressure Ulcer)のリスクである。
日本褥瘡学会は、N95マスクによるMDRPUを予防するため、ハイドロコロイド材を活用した対策例をホームページで公開した。
ここでは、マスクのフィッティングを邪魔しないような薄手のハイドロコロイド材を、マスクが密着する頬部や鼻部に合わせてカットし、肌に貼布した上からN95マスクを装着する方法を紹介している。個人差はあるものの、8時間程度の連続貼付が可能とされている。また、マスクのエッジが当たる場合の下顎部への貼布や、マスクの紐がかかる耳介部、あるいはマスク以外にもフェイスシールドが当たる額部などにも、同様にハイドロコロイド材を使用した方法を紹介している。
報道番組などでは、マスクの形に真っ赤な痕のできた医師や看護師の姿が紹介されている。マスクの着用が必須である状況においては、一度できてしまったMDRPU治癒のための十分なケアは難しく、痛みや苦痛に伴うパフォーマンスの低下や、皮膚バリア機能が低下した部位からの感染リスクの上昇が懸念される。事前の対策によってMDRPUの予防につなげたい。
なお、マスク類を外した後、顔に貼布したハイドロコロイド材を剥離するときにも感染リスクを伴う恐れがある。剥離時は、手を十分に清潔にして、泡立てた洗浄剤を用い、目を閉じた状態で顔を洗い、ペーパータオルで拭く。そして、ハイドロコロイド材に付着しているかもしれないウイルスなどを吸い込まないように、できるだけ目を閉じて注意しながら剥離することが必要だ。
注意:感染予防にN95マスクを用いる際は、顔への密着性が何よりも重要である。いかなるMDRPU対策をする場合も、感染対策担当の部門と相談し、必ず「フィッティングテスト」を実施し、マスクの密着性を確認する必要があるだろう。
詳しくは、下記の日本褥瘡学会Webサイト参照
「COVID-19感染対策N95マスクによるMDRPU予防」
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