2021/4/13
糖尿病足潰瘍は、重症化すると下肢の切断にもつながる深刻な糖尿病の3大合併症の1つである。重症化を防ぐためには、日ごろから糖尿病患者の足を観察し、潰瘍を早期に発見・対処することが大切とされている。
糖尿病足潰瘍の創傷管理を効果的に行うためには、創部を適切にアセスメントする必要がある。足潰瘍は発症機序によって治療法や予後が異なるため、糖尿病足潰瘍に特化した創部評価スケールの開発が待たれていた。
日本創傷・オストミー・失禁管理学会将来構想検討アドホック委員会は、2015年10月から2016年11月に「皮膚・排泄ケア認定看護師の組織横断的活動の成果に関する調査」のなかで、糖尿病足潰瘍の創傷治癒状況のデータ収集を行った。そしてこの度、これらのデータをもとに、糖尿病足潰瘍治癒過程モニタリングスケールである、DMISTを開発した。
DMISTは、評価項目である深さ(Depth)、浸軟(Maceration)、炎症/感染(Inflammation/Infection)、サイズ(Size)、創底の組織の種類(Tissue type of wound bed)、創縁の種類(Type of wound edge)、トンネルまたはポケット(Tunneling or undermining)の頭文字をとったものだ。各項目に患部の状態に応じた点数をつけ、0~34点の間で評価される。0が治癒となり、点数が高いほど重症と判断される。外来受診ごとまたは決められた間隔(1~2週間ごとが望ましい)で採点し、糖尿病足潰瘍の治癒過程を評価する。
1.深さ(Depth):0~5点
2.浸軟(Maceration):0~3点
3.炎症/感染(Inflammation/Infection):0~5点
4.サイズ(Size):0~9点
5.創底の組織の種類(Tissue type of wound bed):0~4点
6.創縁の種類(Type of wound edge):0~4点
7.トンネルまたはポケット(Tunneling or undermining):0~4点
日本創傷・オストミー・失禁管理学会将来構想検討アドホック委員会:DMIST.より作成
褥瘡評価スケールとして開発されたDESIGN®およびDESIGN-R®が、ケアの均質化や質の向上、さらには診療報酬に必要な評価へとつながっていったように、本スケールを多職種・施設を超えた共通言語として活用することで、ケアのエビデンスの構築に寄与することが期待されている。
詳しくは、下記の日本創傷・オストミー・失禁管理学会Webサイト参照
「糖尿病足潰瘍治癒過程モニタリングスケール(DMIST)の開発」
https://jwocm.org/topics/wound-care/w-004/
【関連ページ】
●糖尿病性足病変に対する治療・フットケア
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