2023/2/22
褥瘡を予防するうえで欠かせないのが、体圧分散寝具をはじめとした各種の褥瘡対策用具である。長期臥床や自力での体位変換が難しい患者・療養者など、褥瘡ハイリスクな方に適切に使用することで、体圧分散やずれ・摩擦の軽減、皮膚の保護などの効果が期待できる。一方、不適切な使用方法や、使用が適さない対象に用いることで、かえって褥瘡発生のリスクとなってしまうこともあり、注意が必要だ。
2022年10月、体圧分散エアマットレスを使用中に褥瘡が発生した事例の報告があった。頭側挙上時に、通常接触することがない部分に殿部が接触し褥瘡が生じたものと考えられ、メーカーから安全対策に関する情報が出されている。本報告を受け、日本褥瘡学会 褥瘡対策用具推進委員会より、褥瘡対策用具使用時の取扱説明書の熟読について、あらためて注意喚起がなされた。
褥瘡対策用具の使用に際しては、添付の取扱説明書を熟読することが必要だ。特に、初めて使用する場合(新規採用者、異動者が使用する場合も含む)は、慣れている分類の製品であっても取扱説明書を熟読し、適切な使用に努める必要がある。
また、「○○の方には使用しないで下さい」「○○と同時に使用することは避けて下さい」等の記載がある場合は、その規定事項を遵守して使用する必要がある。
さらに、使用対象の規定についても留意したい。例えば、「寝返りができる人を対象としています」という記載がある場合、「寝返りができない人」は、その製品の対象外となる。個々の製品が、どのような状態の利用者を対象としているのか、きちんと確認したうえで使用されたい。
なお、コントローラー操作が含まれる製品の使用時は、異なる用具との組み合わせにも注意したい。1つの製品のみを使用している場合、同時に操作できないボタンについては排反的にしか作動しないようになっているが、例えばベッドとマットレスのように異なる用具を組み合わせて使用する場合は、それぞれ個別の操作が行われる。不適切な状態になっていないか、使用時には十分に注意が必要だ。
以上の点に留意し、褥瘡対策用具を適切に活用して褥瘡発生予防に努めたい。
詳しくは、以下の日本褥瘡学会Webサイト参照
「褥瘡対策用具使用時の取扱説明書熟読のお願い」
http://www.jspu.org/pdf/shiyoji_onegai.pdf
「モルテン社製・オスカー(2021 年 1 月以降発売の中央でエアセルが結合するタイプ )の使用方法に関する日本褥瘡学会からの注意喚起(お願い)」
http://www.jspu.org/pdf/molten_shiyo.pdf
【関連ページ】
●ガイドラインに基づく まるわかり褥瘡ケア
https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/maruwakari/
●「ディアケア プレミアム」
一歩進んだポジショニング:間接的サポートを中心に(実践ケア動画)
https://dearcare.almediaweb.jp/home/cat01/theme008/index.html
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