2023/8/22
住み慣れた自宅での療養を選択する人が増える中、在宅において先進的な専門知識と技術によるサポートがますます求められている。在宅で遭遇することの多い褥瘡・創傷ケアでは、訪問看護師がその中心的な役割を果たすことが多く、現場の実践に直結できる専門知識や技術をいかに習得していくかがカギになっている。
訪問看護師は、学ぶべき内容が非常に多い一方で、日常業務も多忙を極め、十分な時間を割くことが難しい。そこで、効果的な学習手段の1つとして、必要なことをいつでも、どこでも学べる動画の活用が注目されている。TOWN訪問診療所理事長・院長の木下幹雄先生は、在宅での褥瘡・創傷ケアの専門知識の習得に「動画」を活用することのメリットについて、自らの実践を踏まえてお話しされた。これは、株式会社照林社・アルケア株式会社メディア事業部共催の第32回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会(2023年7月8~9日、仙台)でのランチョンセミナーでの講演で、定員を上回る多くの参加者を集めた。
座長は神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科准教授の渡邊千登世先生。演者の木下幹雄先生は、先生ご自身が開設されているYouTubeチャンネル「褥瘡・フットケアちゃんねる」の動画内容を紹介しながら、動画配信のメリットと注意点などについて話された。
木下先生は、YouTubeチャンネルでアップされているフットケアやデブリードマンの映像を実際に流しながら、いかに動画による学習方法が技術や手順の把握にすぐれているかを示された。言葉だけでは伝わらないコツが一目瞭然で伝えられることや繰り返し視聴することで反復学習が可能な点などを強調された。
その一方で、動画学習における限界と危険性についても言及。動画は誰でもつくれて発信できる反面、信頼できる発信元かどうか不明な場合があることに注意が促された。特に医療に関連する内容では、患者さんへの影響を無視できない。エビデンスに基づく内容であるかの吟味が必須となる。そういう意味では、信頼できる情報発信ができる企業が片手間でなくつくる動画教材に期待するところが大きいとも述べられた。
ご講演の最後に、皮膚・排泄ケア認定看護師や特定看護師へのメッセージとして、卓越した知識と技術でケアを提供することだけでなく、そのうえで地域や病院での司令塔の役割を果たすことも重要とし、知識と技術のブラッシュアップのために「好きなときにいつでも学べる」動画コンテンツを活用してほしいと提案された。
また、講演内容の全体は、『エキスパートナース』2023年11月号(10月20日販売予定)でSpecial Reportとして掲載する。
詳しくは、下記の第32回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会Webサイト参照
▼第32回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会
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