2017/06/14
「イレウス」と「腸閉塞」を混同している人が多いようである。厳密には、「イレウス」とは「腸管麻痺」によって腸管蠕動が低下する状態のことで、「腸閉塞」は腸管内腔が閉塞する状態のこと。PubMedの定義を見てみよう。
「イレウス」は、「機械的閉塞がない状態(without any mechanical obstruction)」とされ、機械的/物理的に閉塞がある場合には使用されない1。『エキスパートナース』2017年6月号で、その鑑別の重要性について特集している2。
先に出された『急性腹症診療ガイドライン』でも、「腸閉塞」と「イレウス」を使い分けることが提案され、腸管が機械的/物理的に閉塞した場合を「腸閉塞」とし、麻痺性のものを「イレウス」と呼ぶことになった。そのため、従来は「絞扼性イレウス」と言われていたものは「絞扼性腸閉塞」と呼ぶことになる。
「腸閉塞」の最も多い原因は、「開腹術後の癒着」である。腹腔内の癒着によって“紐状のバンド”ができ、腸管が閉塞する、あるいは、腸管が腹壁などに癒着することによって腸管にねじれが生じ、腸管閉塞をきたす。
「腸閉塞」になると腸管内腔が閉塞し、腸管内容が流れにくくなるため、腹満、腹痛、嘔気・嘔吐などの症状が出る。そして、内腔が閉塞するために「便が出なくなる」ことが多い。
「イレウス」の最も多い原因は、汎発性腹膜炎などの「腹腔内の炎症」である。炎症によって腸管蠕動が低下し、炎症が軽快するまで継続する。上腸間膜動脈閉塞症や腸管壊死など腸管に血流障害を生じた場合にも腸管蠕動は低下し、「イレウス」となる。「イレウス」の症状は、腹満、嘔気・嘔吐が主体で、腹痛はある場合もない場合もある。腸管蠕動が低下・消失し、蠕動音は減弱する。
「腸閉塞」では、壊死腸管の有無を迅速に鑑別し、必要な場合は、緊急手術を行う必要がある。腹痛、腹部膨満、嘔気・嘔吐を訴える場合には、すみやかに医師に連絡することが重要だ。
引用文献
詳しくは、日本腹部救急医学会Webサイト参照
【関連ページ】
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https://www.almediaweb.jp/excretion/constipation-care/
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