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2018/2/7

がんの痛みを取るオピオイドの選択肢が増えた

がん患者が訴える症状の中で最もつらいのが「痛み」である。「痛み」は主観的要素が強いため、医療従事者は患者が「痛み」を訴えたらすぐに対応することが求められている。がん疼痛への対応の基本は、「WHO方式がん疼痛治療法」に則って行うこととされ、この標準的治療法は多くの医療施設に普及している。以前はオピオイドを使用することを躊躇する医師もいたが、今は積極的に使いこなす方向に切り替わっている。

現在、わが国で使用可能な強オピオイドは、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロモルフォン、タペンタドール、メサドンの6種類だ。それぞれ剤型が増え、定時薬となる徐放性製剤や貼付薬、レスキュー薬である速放性製剤、そして内服が困難な場合に使用できる注射薬などさまざまである。弱オピオイドであるトラマドールも、徐放性製剤が出されて投与目的に応じた剤型がそろった。症状や状態に応じてきめ細かいオピオイド使用が可能になったといえる。

2013年以降には下表に示した5つのオピオイドが発売されている。これらはいずれもμオピオイド受容体に作用するものだ。μオピオイド受容体は脳内や脊髄に存在し、鎮痛効果に強く関与しているとされる。オピオイドがμオピオイド受容体に作用すると、痛みを感じにくくするとともに、下行性疼痛抑制系神経にも作用し、脊髄後角での痛みを伝える神経伝達物質の放出を抑える防御システムがはたらく。この防御システムをはたらかせる神経伝達物質がノルアドレナリンやセロトニンである。新しく発売された5つのオピオイドは、μオピオイド受容体にも作用するが、それ以外の鎮痛機序を持っている。

表 2013年以降に発売された5つのオピオイド

分類 強オピオイド 弱オピオイド
一般名 フェンタニルクエン酸塩 ヒドロモルフォン塩酸塩 タペンタドール塩酸塩 メサドン塩酸塩 トラマドール塩酸塩
主な商品名
  • イーフェン®バッカル錠
  • アブストラル®舌下錠
  • ナルサス®
  • ナルラピド®
  • タペンタ®
  • メサペイン®
  • ワントラム®
  • トラマール®OD錠

トラマドールやタペンタドールは、μオピオイド受容体に結合する力を持っていると同時に、ノルアドレナリンやセロトニンの量を減らさないようにして、下行性疼痛抑制系神経の効果を高める作用(再取り込み阻害作用)を併せ持っている。

メサドンは、強力なμオピオイド受容体結合作用を持っている一方、NMDA受容体拮抗作用を併せ持っている。脊髄後角にあるNMDA受容体は強い痛みが持続的に起こると感度高く痛みを伝達する部位で、いわば痛みの増幅作用を持っている。“アロディニア”と言われる現象を引き起こすもので、その抑制作用があると言われるのがメサドンである。このように、痛みへの対応機序をさまざまに持つオピオイドの登場によって薬剤の選択肢が増え、各剤の特徴を踏まえた使い分けが可能になったといえる。新しい鎮痛薬の種類と特徴については、佐藤哲・静岡県立静岡がんセンター薬剤部の以下の記事に詳しい。
佐藤哲:新しい鎮痛薬の種類と特徴.久山幸恵:みんな知っておきたい がん疼痛ケアの“いま”,エキスパートナース2018;34(2),94-98.

詳しくは、下記の株式会社照林社Webサイト参照
http://www.shorinsha.co.jp/detail.php?bt=1&isbn=1208302118

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