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2018/3/19

身体拘束をしない看護への挑戦

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特集:ますます広がる 身体拘束をなくす取り組み

国をあげて認知症対策が進むなかで、2016年度診療報酬改定では「認知症ケア加算」が保険収載され、各病院で取得に向けての動きが加速している。認知症ケア加算の中でも着目されたのが、身体的拘束を実施した日はペナルティが課せられた点だ。身体的拘束を行った日は、1日につき「所定点数の100分の60」とされ、加算点数が40%も減額されている。身体拘束をできる限りなくす方向に導入が進んだということだ。ここでは「身体的拘束」を以下のように規定している。
「身体的拘束は、抑制帯等、患者の身体または衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいう。」
「やむを得ず身体的拘束を実施する場合であっても、当該患者の生命及び身体の保護に重点を置いた行動の制限であり、代替の方法が見出されるまでの間のやむを得ない対応として行われるものであることから、できる限り早期に解除するよう努める。」

さらに、平成30年度の診療報酬改定でも、「療養病棟における夜間看護体制の充実」として、「夜間看護加算」が新設される。これは、療養病棟で日常生活支援が必要な患者が一定割合以上入院する病棟において、看護職員等の手厚い夜間配置をし、身体的拘束を最小化する取り組みを行っている場合の新設である。
また、認知症治療病棟においても、身体的拘束等の行動制限を最小化する取り組みの実施を求めている。また、看護補助者の配置に関する加算を算定する場合に、身体的拘束等の行動制限を最小化する取り組みの実施を求める、としている。

このように、身体的拘束を最小限にしていこうという大きな流れの中で、「抑制しない看護へのチャレンジ」をしている病院がある。金沢大学附属病院だ。同院では、2015年度、一般病棟・精神病棟で身体抑制0件になったと報告している。これまで、抑制実施の理由として、「チューブを抜いてしまうかもしれない」「転倒してしまうかもしれない」「説明しても理解してもらえないかもしれない」など看護師側の不安や過去の出来事、そして「発生するかもしれない」という心配が多くを占めていたという。同院では、「ほかに方法がない」「やむを得ない」という意識ではなく、「人として大切に思う」ことを根元に置いたチャレンジを行った。具体的には、看護倫理検討委員会の設置、倫理カンファレンスの実施、臨床事例検討会、せん妄予防委員会の設置などを経て、2014年から身体抑制減少化を開始した。取り組みを進める中で、看護師自身のジレンマだけでなく、医師とのコンフリクトもあり、試行錯誤を重ねての取り組みとなった。同院のような高度急性期医療の場で、抑制しない看護を実施するのは非常に多くの乗り越えるべき壁があったと推測される。現在も取り組みの最中ではあるが、こうした発表は心強い。

身体拘束については、1998年の「抑制廃止福岡宣言」に続き、2001年に厚生労働省から「身体拘束ゼロへの手引き」がとりまとめられた。介護保険施設の運営基準においては高齢者施設における身体拘束は原則的に禁止となっている。国の診療報酬上のインセンティブはともかく、患者の尊厳を守り、看護が本来もつべき機能の発現として、こうした積極的なアプローチに学ぶことは多いだろう。金沢大学附属病院の実践は、『看護』2018年2月号に詳しく掲載されている。

文献

「身体拘束をしない看護」急性期病院の挑戦.看護 2018;70(2):69-87.

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