2020/11/4
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、介護の現場もさまざまな対応に追われている。特に緊急事態宣言が発出された2020年4月ごろは、全国的に介護サービスの自主休業が広がった。要介護者とその家族の生活を支えるうえで介護サービスは欠かせないものであり、適切な感染防止対策を行ったうえでのサービスの継続が求められている。
その後、介護現場では感染対策をとったうえで徐々にサービスを再開してきているが、担い手である介護職員は、重症化リスクの高い高齢者等に対して日常ケアを行ううえで、感染対策に関する不安や疑問を抱きながら業務に当たっていることも多い。その背景としては、基礎教育課程において、感染に関する知識の習得や、感染予防のための標準予防策の学習が必ずしも十分ではないことなどが挙げられる。
今後も続くとみられる“withコロナ”の状況に対応していくためには、介護現場における感染症対応力を底上げできるような支援が必須である。厚生労働省では介護事業所等向けに感染拡大防止や感染対策に関する情報を継続して発信しており、2020年5月には訪問介護職員向けに感染対策の要点を動画でまとめている。同年10月には、「介護現場における感染対策の手引き(第1版)」が取りまとめられた。
本手引きは、「総論」「新型コロナウイルス感染症」「感染症各論」「参考」の4つの章から構成されている。
「総論」においては、感染対策の重要性と基礎知識が写真やイラストも交え具体的に解説されており、介護職員が担う日常ケアにおいてすぐに取り入れられる内容となっている。また、施設・事業所の管理者に必要な知識である、感染管理の体制づくりや職員の健康管理、感染症発生時の対応などについても解説されている。
そして、「新型コロナウイルス感染症」では2020年10月1日時点でわかっているCOVID-19の特徴や経過、対策、ケア時の留意点などがまとめられている。さらにCOVID-19にとどまらず、「各論」ではインフルエンザや疥癬、誤嚥性肺炎、尿路感染症など、介護現場においてよくみられ、対策が必要となる感染症全般についても、基本的な特徴と予防・発生時の対応が記されている。
感染対策を効果的に実施するためには、ケアにかかわる1人1人が必要な事項をよく理解し、実践していくことが重要である。それによって、職員自身の健康を守りながら介護サービスを継続的に提供していくことにつながる。基本的知識の獲得や、組織体制整備・マニュアルづくり等にぜひ活用されたい。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
「介護現場(施設系、通所系、訪問系サービスなど)における感染対策の手引き 第1版(令和2年10月)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000678253.pdf
【関連ページ】
●厚労省が訪問介護職員(ホームヘルパー)のための新型コロナウイルス感染防止策の動画を公開
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