2022/3/16
2022年1月、日本老年学会は、「虚弱」の程度を評価するためのスケール、CLINICAL FRAILTY SCALE(CFS version 2.0)の日本語版を公開した。CFSはカナダの臨床研究から開発されたスケールで、全体的な健康状態のスクリーニング・評価に役立てられている。
CFSでは、虚弱(*1)の程度を「1:非常に健康である」から「9:人生の最終段階」までの9段階に分けている。以前のスケールでは7段階となっており、レベル7に重度の虚弱から末期症状までがひとまとめになっていた。しかしながら、このグループ内でも状態によって臨床的に必要なケアが異なることから、「7:重度の虚弱」「8:非常に重度の虚弱」「9:人生の最終段階(死期が近づいている末期の状態)」に細分化し、全9段階で評価することとなった。その後、各段階の内容や表記が調整されたものが現行版(CFS version 2.0)に当たる。
コロナ禍においては、本ツールが希少な医療リソースの割り当てなど重要な臨床決定を行う際のトリアージツールとしても使用されていることが報告されている(*2)。
さらに、本ツールでは認知症と虚弱との関係にも触れており、一般的に認知症の程度と虚弱の程度は対応すると解説されている。認知症の程度は軽度、中等度、高度、非常に高度の4つに分けられており、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の程度や支援の必要性などは、認知症および虚弱の重症度に応じて変わってくる。
このような臨床虚弱尺度による評価は、患者や要介護者のケアにおいて、医療機関や施設など複数施設を利用している際の情報共有に役立ったり、経時的変化を評価したりといった指標の一つとして用いることが期待できるため、ぜひ活用されたい。
詳しくは、下記の日本老年学会Webサイト参照
「CLINICAL FRAILTY SCALE – JAPANESE 臨床虚弱尺度」
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/tool_14.pdf
*1 CFSにおける「Frailty」は、現在日本で周知されている「フレイル」とは意味合いが異なることから、日本語版では「虚弱」と表現されている。
*2 Kenneth R, Olga T: Using the Clinical Frailty Scale in Allocating Scarce Health Care Resources. Can Geriatr J 2020 Sep 1; 23(3): 210-215. doi: 10.5770/cgj.23.463. eCollection 2020 Sep.
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