2022/3/22
厚生労働省は、医薬品・医療機器等安全性情報389号を発表し、高齢者のポリファーマシー対策について高齢者医薬品適正使用検討会(以下、検討会とする)のこれまでの取り組みや、ポリファーマシー対策の業務手順書の概要についてあらためて紹介した。
ポリファーマシーとは、一般に服用する薬剤の種類が多いことを指すが、そのことに関連して薬物有害事象の増加や服薬アドヒアランスの低下などが問題点として指摘されており、特に多疾患併存を抱える高齢者にとって適切な対応が求められている。
検討会は、2018年5月に「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」を発表し、翌年6月に「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」を取りまとめた。また、2020年4月には100床以上の病院を対象にポリファーマシー対策における実態調査を実施し、その結果をふまえて2021年3月に「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」を公表した。これは実態調査で判明した、十分に進んでいるとは言いがたい医療機関でのポリファーマシー対策をサポートするねらいで取りまとめられた業務手順書である。
手順書の目的として、①対策を始める病院が取組初期に直面する課題を解決するためのスタートアップツールとして活用してもらうこと、②ポリファーマシー対策をある程度進めている病院が業務手順書を整備し、業務をより効率的に行う参考資料として活用してもらうことが挙げられており、それぞれ第1章と第2章にまとめられている。また、地域包括ケアシステムを担う医療・介護関係者との連携についても記載されている。
手順書の主な利用者は医師、歯科医師、薬剤師だが、広くポリファーマシー対策にかかわる医療関係者も利用対象として想定されている。手順書では、ポリファーマシー対策を始める前に、薬剤の数や種類のみに着目するのではなく、安全性の確保等からみた処方内容の適正化が求められるとも示されており、ポリファーマシー対策の基本的な考え方から理解を深めるためにも活用が期待される。
389号では、添付文書の改定が指導された薬剤「フィンゴリモド塩酸塩」(多発性硬化症治療薬)の改定の内容等とともに改定の根拠となった症例概要他についても掲載されている。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
「医薬品・医療機器等安全性情報389号」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000083859.html
【関連資料】
「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」について
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000763323.pdf
高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/kourei-tekisei_web.pdf
高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000568037.pdf
【関連ページ】
●看護師の視点からみた「高齢者の薬」
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