2023/6/6
高齢期にむけた健康の維持にとって最適な食事のタンパク質比率は25~35%あると東京都健康長寿医療センター研究所が公表した(2023年5月8日付)。これは、同研究所の石神昭人副所長、早稲田大学の近藤嘉高講師、株式会社ニチレイフーズの青木仁史研究開発部付部長、東京大学の高橋伸一郎教授らの共同研究の結果により得られたもの。
同研究チームでは、日本における高齢期にむけた健康維持や理想的なタンパク質比率を明らかにすることを目的に、マウスを用いてタンパク質比率や月齢が異なると、健康にどのような影響があるかを詳しく調査。月齢は、若齢(6月齢)と中齢(16月齢)の2分類とし、タンパク質比率は5%、15%、25%、35%、45%の5群に分け(各食餌のカロリーを揃えるため、脂質の比率は日本を想定した25%に固定し、炭水化物の比率を変更して調整)、2か月間マウスを飼育した。
調査では体重や食べた餌の量、肝臓の中性脂肪量や総コレステロール量、血糖値、血液中のアミノ酸濃度などについて分析が行われた。調査結果の詳しい内容はここでは割愛するが、結果として、若齢および中齢のマウスにタンパク質比率が25~35%食餌を与えると、15%(日本の平均)の食餌に比べて、肝臓の中性脂肪量や血糖値、血液中の脂質濃度が抑制されたとのこと。
この結果を踏まえ、同研究チームは「若齢、中齢ともにタンパク質比率が25~35%が最も健康的である」とする。また、今回はマウスの実験結果であり人に当てはめるのは早計とするものの、現在の日本におけるタンパク質の摂取比率は13.8%であり、これを25~35%に高めることは、高齢期にむけた健康維持に役立つ可能性があると示唆する。
さらに今後の展望として、「サルコペニアやフレイル、認知症の予防や改善を目指して、健康長寿に最適なライフステージにおける三大栄養素バランスを検討する」という考えも示した。
研究成果の概要等、詳しくは東京都健康長寿医療センターWebサイト(2023年5月8日<プレスリリース>「高齢期にむけた健康的な食事のタンパク質比率は25~35%」)参照
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