2023/7/18
糖尿病は「一度発症したら治らない」「薬を飲み続けなければならない」と言われてきたが、新潟大学の研究グループが2型糖尿病患者の臨床データを分析したところ、約100人に1人の割合で血糖値が正常近くまで改善し、薬が不要な状態、いわゆる「寛解」に至ることが明らかになったと発表した(2023年5月29日付)。
新潟大学大学院医歯学総合研究科の藤原和哉特任准教授、曽根博仁教授(血液・内分泌・代謝内科学)らの研究グループは、1989年から2022年において、日本全国の糖尿病専門施設に通院中の18歳以上の2型糖尿病患者48,320人を対象に、体重やHbA1c値、BMI、薬物治療の経過などのデータを解析。これまで定かではなかった寛解の割合や寛解に関連する要因、また寛解から1年後の再発の割合とその要因について検討した。
その結果、追跡期間5.3年で3,677人が寛解に至り、その頻度は1,000人を1年追跡すると10.5人(約1%)であった。観察開始時の患者の特徴から寛解の要因を検討したところ、糖尿病と診断されてからの期間が短い人、HbA1c値が低い人、肥満度(BMI)が高い人、1年間の体重減少が大きい人、薬物治療を受けていない人であることが寛解に至る割合が高かったという。1年間の体重変化に関しては、BMIが0~4.9%低下した場合を基準とすると、5.0~9.9%低下、10%以上低下した場合には、寛解の発生がそれぞれ 2.2 倍、4.7 倍に上昇した。
一方、寛解した3,677人のうち2,490人が再発。再発の要因を観察開始時の特徴から分析すると、糖尿病と診断されてからの期間が長いことやBMIが低いことに加えて、体重が増加した人において再発しやすい傾向も明らかになった。
同研究グループは、今回の結果から「“糖尿病は治らない”と言われてきたが、たとえ糖尿病と診断されても、早期から生活習慣改善や薬物治療に取り組み、減量を行うことで2型糖尿病の寛解は可能であり、また一度寛解に至った場合でも、体重を適正に管理し、定期的に診察を受けることが再発の予防において重要である可能性が示された」とする。そして、「今回の研究は観察研究であり、今後、生活指導や薬物による介入を行うことで実際にどの程度の人が寛解し、寛解の状態が持続するかを確認する必要がある」と述べた。
研究成果の概要等、詳しくは、下記の新潟大学Webサイト参照
「糖尿病患者の100人に1人は「治っていた」~4万8千人の患者データ解析で明らかになった 「寛解」の頻度と条件~」)
https://www.niigata-u.ac.jp/news/2023/416785/
【関連ページ】
●看護師が知っておきたい糖尿病 セルフケア支援を中心に
https://www.almediaweb.jp/diabetes_dialysis/diabetes_dialysis-001/
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