2023/8/8
厚生労働省は、2023年6月30日の通知にて、「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針」の策定を発表した。
情報通信機器を活用した診療や健康増進・医療に関する行為は、情報通信技術の発展並びに地域の医療提供体制及び医療ニーズの変化に伴って、近年ますます需要が高まっている。2020年から始まったコロナ禍で遠隔医療の利活用に向けた動きがさらに加速しており、近年の診療報酬改定や介護報酬改定においても、これらを後押しする流れとなっている。
このように急速なニーズの高まりがみられ、徐々に利活用が進む一方で、実際の医療・介護の現場では、必ずしも幅広く普及が進んでいるとはいえず、不適切な利用実態もあることが指摘されている。今回の基本方針は、このような背景を受けて策定されたものである。
厚生労働省では、オンライン診療その他の遠隔医療の実施形態およびその特性を整理した上で、導入および実施上の課題、さらにはその解決に向けて、国、都道府県、市町村を中心とする関係者の望ましい取組みの方向性を提示すること。そして、遠隔医療の導入のための環境の整備を進めることで、オンライン診療その他の遠隔医療の適正かつ幅広い普及に資することを目的としている。
オンライン診療の形態のなかでも、患者側に看護師等が同席し、遠隔地にいる医師が診療を行う形態の遠隔医療は「D to P with N(※)」と呼ばれる。
※D:医師(Doctor)、P:患者(Patient)、N:看護師等(Nurse)
情報通信機器の使用のサポートを含め、患者と医師の間の円滑な意思疎通を行うために看護師が果たす役割は大きい。さらに、医師の指示に基づく検査や投薬、点滴、処置などの診療の補助行為を看護師が行うことで、患者の負担やかかる時間を軽減することも期待できる。
今回の方針内では、上記を含む各用語の整理や、それぞれの遠隔医療形態の解説、オンライン診療等に期待される役割と、現状の利用実態や課題、解決への方向性などがわかりやすくまとめられており、オンライン診療をはじめとした遠隔医療の今後の導入を検討している施設や機関だけにとどまらず、すでに取り組んでいる施設や機関も一読しておきたい内容となっている。
さらに、別添2では遠隔医療の導入に関する好事例として、離島やへき地から都心のクリニック、自治体の取り組みまで、さまざまな背景をもったケースが紹介されている。遠隔医療導入の経緯からシステムの特徴、実際導入してみて起こった課題とその解決策、そして導入の効果まで、ひとつひとつ具体的な詳細をみることができるので、ぜひ参考にされたい。
詳しくは、下記の厚生労働省Webサイト参照
・厚生労働省通知:オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針について(令和5年6月30日)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230703G0110.pdf
・別添1「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230703G0111.pdf
・別添2「オンライン診療その他の遠隔医療に関する事例集」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230703G0112.pdf
【関連ページ】
●在宅ケアにICT(情報通信技術)を取り入れるテレナーシング(遠隔看護)の必要性
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